あそびのじかん展を観に行った

東京都現代美術館で開催されています。

『あそびのじかん』著者として
あそびのじかん展を観に行った。

展示室のほとんどが、
訪れる人が「あそぶ」ことを
前提にした場所になっていました。

あそびの中身とか
あそびを、どう引き出すのかとか
おとなとこどもの関わりを
場としてどうデザインするか
・・・などなどについては
ずっと探究しているテーマです。
訪れている親子の姿とか
こどもの様子とかを
こっそり観察していると
「こどもは、こう振舞うんだな」とか
「私ならこうするなぁ」とか
色々と考えるヒントを頂きます。

とはいえ、展示をつくった人たちにとっては
「アート」なので
たぶん、私の専門性とは全然違うところに
つくった人のこだわりとか意図とかが
あるのだと思うのです。

そんな風に、違う視点の人の
違う思惑がある場所で
来館する人も、また違う視点を持ち
色々な思惑が交錯する真ん中に
「あそび」がある、というのは
とても興味深い、と思う訳です。

『あそびのじかん』にも書いたのですが
美術館とか博物館とか音楽鑑賞とか
美しいもの、心を込めて生み出したものに
出会える場所が
子どもにとっても身近な場所になれば、と
常々思っています。
(もちろん、大人にとっても
 もっと敷居が低くなればいいと思う。)

それは、
美術館とか博物館の収蔵品に出会い
あるいは心動かされる音楽に出会い
美しいな、とか、心地よいな、とか、
これは何だろう?とか、
自分もやってみたくなってきたぞ、とか
そういう気持ちを沢山味わうことが
子どもにとって
大切なことだと思うからです。

ただ、
子どもたちが訪れたらいい、
というのは
子どもだから騒いでもいい
って意味ではなくて。

子どもは騒ぐ、とか、走る、とか
決めつけないで
その場にふさわしいマナーを
学ぶことも含めて、訪れたらいいと思うのです。
きちんと伝えれば、彼らも分かります。

最初っから、子どもにはできない、
子どもの場所ではない、って決めつけて
遠ざけていてはもったいないと
思っている訳です。

そして鑑賞マナーが守れない時に
「親のしつけがなってない」とか
「こんなところに子どもを
連れてくるべきじゃない」とか
言わないことも大事だと思うんです。

まわりの大人たちが
怒るのではなく、
無視するのではなく
同じ、美しいものを大事にする仲間として
子どもに、「こういう場では
こんな風にするんだよ」って
伝えていけばいいんじゃないかな、って。

言い方も、フラットに。
言われた方も、しかられた、とかじゃなく
「伝えてくれてありがとうございます」って
フラットに。

鑑賞マナーを守ることは大事だけれど
マナーを身に付けるまでの過程は
見守って頂ければ嬉しいなぁ。
そうすることが
心を込めて生み出されたものを愛おしむ、という
芸術を味わう仲間を増やすことに
繋がるんじゃないかなぁ、と思うのです。

そういう意味で
今回のあそびのじかん展は
最初から、子どもウェルカム、という
コンセプトを打ち出していて
美術館、ってところに足を運んでみることの
第一歩になるんだろうなぁ、って
感じました。

この先があればすてきだな。
美術館って存在が身近になって
他の展示の時も行ってみよう、って
そういう場になればいいのにな。

子どもの出会う世界が
豊かなものであるように
そして、そのために
多くのおとなたちが
暮らしの豊かさを尊重できたら
いいんだろうな、って
思うのでした。