絵本の読み聞かせ どうしたらいい?|スタート編

「絵本の読み聞かせって、どうしたらいいんですか?」って、本当に良く質問頂きます。「べつに、どうしたっていいんですよ」と言いたいところなのですが、「どうしたらいい?」と知りたい方は、「何でもOK」というだけの答えでは逆に不安なんだと思います。どれどれ・・・と試しに、「絵本の読み方」を調べてみると、「効果的な読み方」とか「読み方のコツ」というタイトルがずらり。まるで読み方の正解があるみたいに見えて「何が正解?」って知りたくなる気持ちも分かるなぁ・・・。

繰り返しますが、絵本の読み方は、「べつに、どうしたっていい」んです。でも、大人としては、絵本を読みながらこれでいいのかな、って心配になるポイントがいくつかあるんですよね。なので、その心配ポイントを「心配しなくていいよ」って確認するために、記事を書こうと思います。

それから、もう1つ、読み始める前に提案したいことがあります。

それは、「こどものために」絵本を読む、という気持ちを、一度忘れてみてはどうかな、ってことです。

「こどものために」と思うと、興味を示してくれない時に「せっかく、あなたのためにやってあげてるのに!! もうっ!!」ってイライラしちゃいますよね。でも、それじゃあ、絵本の時間が、こどもにとって苦痛になってしまう・・・。そうじゃなくて、「自分が読みたいから読む」というくらいの気軽な気持ちで始めてみませんか?

では、気軽な感じで、スタートです。

1.絵本の読み聞かせはいつから始めたらいい?

育児書的な目安は、気にしなくていい

お父さん・お母さんたちに、よく質問されるのが、この質問「絵本の読み聞かせはいつから始めたらいい?」です。教科書/育児書的には、4ヶ月くらい、こどもが目の前のものに手を伸ばすようになる頃が1つの目安と言われています。つまり、目の前のものに興味を示せるようになれば、絵本にも興味を持てる、ということですね。

でも、それは1つの目安。一般にイメージする絵本の読み聞かせのスタートには、その頃が適しているかもしれませんが、まずは絵本と仲良くなろうという意味では、はじめよう、と思った時がはじめ時です。

お父さんまたはお母さんが絵本を読むこと大好きで、読むと落ち着くのよね・・・ということならば、生まれてすぐの赤ちゃんに、子守唄のように絵本の言葉を聞かせてあげたっていい。

今、まだ絵本にあんまり親しんでいない人も、始めるのが遅くなっちゃった、なんて思わないで、始めたいと思った時から手に取ったらいいですよ。

親の気が向かないうちは、無理に読まなくていい

なんだか絵本を読むのは面倒くさいんだけれど、ちゃんと読んであげましょうねって言われるし、始めなきゃいけないんでしょ、面倒だなぁ・・・と思うならば、まだ読まなくていいと思います。

でも、絵本をこどもの手の届くところに置いてみてください。もし、こどもが興味を示したら、「うん、それ絵本だよ」「〇〇の絵がかいてあるね」「あ、ひらくね」と、ちょっと会話してみてください。

無理に読まなくていいです。モノとしての絵本について、言葉を交わし、こどもが、これなにかなぁ、と思ってくれる、今はそれで充分です。そのうちに、お母さん自身が読んでみよっかな、って気持ちになった時に、「それ、読もうか?」って読み始めてくださいね。



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ボードブック版『はらぺこあおむし』エリック・カール:作 もりひさし:訳 偕成社
世代を超えて読まれている『はらぺこあおむし』は、いろんなサイズで出版されています。ボードブック版は、厚紙なので、興味のままに、少し手荒に扱っても大丈夫。

2.子どもの味わい方は大人と同じではない

前段で、絵本は4ヶ月くらいからが目安と書きましたが、「えっ?そんなに早いの?」って思いませんでしたか?そんな小さい赤ちゃん、言葉も分からないし、絵も何だか認識できないし、見ても分からないんじゃないの?・・・と感じたかもしれません。

でも、「まだ理解できないから絵本が早すぎる」って心配はしなくても大丈夫。大人と同じ理解じゃないとしても、こどもなりに受け止め、楽しんでいます。

例えば、『かさ さしてあげるね』という絵本があります。

動物の背中にあたる雨音がそれぞれ違うのです。ぞうさんの背中にあたる雨の音、ありさんの背中にあたる雨の音・・・。大人は、ぞうは大きいからこんな音・ありは小さいからこんな音、と理解します。


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『かさ さしてあげるね』はせがわせつこ:文 にしまきかやこ:絵 福音館

それでは、まだ、動物の身体の大きさを充分に認識していないこどもたちには、この絵本の楽しさが伝わらないのでしょうか。もちろん、そんなことはないですよね。この絵本をにこにこしながら楽しむこどもたちを見ていると、音の響きや変化を味わったり、どんなものかなぁと想像したりすることに、楽しさを感じているのかなぁ、と思います。

赤ちゃんには絵本は早すぎる、って思わなくてもいいんです。大人と同じ理解じゃなくても、赤ちゃんは赤ちゃんなりに、楽しんでます。


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『もこ もこもこ』谷川俊太郎:文 元永定正:絵 文研出版
「もこ」って何?「にょき」ってどういう意味?・・・小さいこどもは、そういう理屈ではなく、もっと本能的に、音の響きと絵とを味わっているんだろうなぁ、と思える本です。

3.絵本スタートにおすすめの絵本

絵本スタートの時は、必ずしも、大人が思うような絵本の楽しみ方をしてくれるとは限りません。なんだこれ~?!と興味を持ってかじる。色鮮やかさに興奮して両手でバンバン叩く。変化がオモシロくてひたすらめくる。・・・そんな、ちょっと手荒な歓迎にも耐えられるような、厚紙タイプの絵本があるといいですね。絵本に描かれていることを理解させようとするのではなく、色や形、音やリズムを楽しみ、絵本の楽しさに出会う子どもが、どんどん増えたら嬉しいなぁ。

例えば・・・

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『てんてんてん』わかやましずこ:作 福音館
言葉と色と形の面白さがシンプルに凝縮された絵本です。福音館書店の0・1・2のシリーズは、紙の厚さも、10ページというページ数も、スタートにぴったり。



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『じゃあじゃあ びりびり』まついのりこ:作 偕成社
地域によっては自治体からプレゼントされる絵本にも選ばれている「ファーストブックの定番」。モノの名前を教えよう、なんて思わないで、1ページごとの鮮やかな色の違いや、擬音語擬態語の面白さを味わってみてくださいね。どのページを好むかが、こどもによって違うのも面白いのです。

絵本の読み方は、更に、「0~1歳」と「2歳以上」に分けて、もう少しじっくり、そして楽しく、お伝えしていきますね!