絵本の読み方選び方番外編|オススメ絵本 おかわり!

絵本の魅力・絵本の読み方・選び方・そして年齢別の絵本・・・と、記事を書き、どの絵本をご紹介したらいいだろうかと選んでいると、書けば書くほど、まだまだ紹介できていない本がたくさんあるなぁ、という気持ちになります。
例えば、「むかしばなしの絵本」「科学や社会への興味に応える本」など、紹介できなかったけれど魅力的な本は、まだまだ沢山あります。

そして、ジャンルとか年齢とか、関係なく、紹介しきれなかったけれど、私が強い魅力を感じている本を、もっともっとお伝えしたい、という気持ちになったので、〈番外編〉として一気に載せます。(連載の中で登場した本もあります。)



『くまとりすのおやつ』岸田衿子:文 堀内誠一/堀内紅子:絵 福音館書店
足ることの幸せを教えてくれる本だなぁ、って思ったのです。幸せを決めるのは、自分の心ひとつだな、って。くまくんも、りすちゃんも、幸せそうです。



『だるまちゃんとてんぐちゃん』かこさとし:作 福音館書店
最初は友達(てんぐちゃん)の持っているものを羨ましく思うだるまちゃん。大きなだるまどんが、気持ちをちゃんと受け止めてくれる、という心の土台を持つことで、結局自分のチカラで「自分らしいもの」を手に入れて、それに満足する、という心の揺れ動きが本当に素晴らしい。こどもは、こうやって、「自分」というものを見つけていくんですね。それを認めるてんぐちゃんの、懐の深さにも感嘆します。



『ルラルさんのバイオリン』いとうひろし:作 福音館書店
おしりがむずむずするようなバイオリンの音を「おもしろい音」だと言ってくれたルラルさんのお父さん。お父さんは、バイオリンを弾くことを仕事にしている人です。本当のプロは、表面的な上手下手ではない、本質の魅力を、ちゃんと見出すんですね。
仲間たちが、バイオリンの演奏を聴く場面は、とてもユーモラスなのに、「大事なことを仲間が認めてくれる暖かさ」を感じて、いつも読みながら涙が出そうになります。



『もこ もこもこ』谷川俊太郎:作 元永定正:絵 文研出版
人の心って、どこまでも広い。そして深い。私が今、分かったつもりになっている自分の心は、ほんの一部で、私の心の奥底に、もっと深い深い心が広がっているのだろう。幼いころは観えていたのに、忘れてしまった心もあるかもしれない。なんか、そういう捉えどころのないものに、ふと想いを馳せる本。



『絵本 ことばあそび』五味太郎:作 岩崎書店
ことばって、なんて面白いんだろう。
その面白さを、こんな風に、伝えられるって、なんてわくわくするんだろう。
言葉を覚えたての小さなこどもから、何年も日本語とつきあっているはずの大人まで、誰もが、それぞれの理解の中で「面白いね」って感じられるって、すごいことだなぁと思います。



『はるかぜのたいこ』安房直子:作 葉祥明:絵 金の星社文研出版
おはなし会の時など、「大人のひとに味わってもらいたい本です」と言って、最後に読むことの多い本です。こどもが困難に直面した時、大人の役割は、その困難を取り除くことではなく、見守り、必要ならばアドバイスをすることかなぁなんてことを考えながら、読んでいます。


信頼している本があります。それは例えば、
・日本語の美しいもの
・絵や写真が真摯さが感じられるもの
・絵本という作品として読み手への誠意が感じられるもの
・子どもが共感できるもの
そういう本を読むと、背筋が伸びる想いがします。

みなさんが、これからもすてきな絵本に出会い続けていけますように。