キッザニアがオープンしたばかりの頃、「こどもが夢を見つける」場所だと紹介頂くことが
多々ありました。見学された方がそう受け取ったのならば、殊更に否定する必要もないのですが
実のところ、私の想いは、逆でした。
無理に夢を見つけなくてもいい。むしろ、知らなかった仕事の存在を知り
「今までアイドルになりたいと思っていたけれどエンジニアって仕事も面白そう。どうしよう?!」と
迷うきっかけになったらいい、とさえ思っていました。今も、思っています。
こどもにとって、実感を伴って知っているしごとの種類は、本当に限られます。
その限られた中から「将来なりたいもの」を決められるこどももいれば
「まだピンとくるものがないな」と感じるこどももいます。
どちらのタイプのこどもも、キッザニアのような場所に行ったり
仕事体験のイベントで知らない仕事に触れたりすると、ぐっと世界が拡がります。
今までの「なりたいもの」への想いが揺らいだり、選択肢が多すぎて戸惑ったり
あるいは、それでも「夢は変わらない」と決意を新たにしたり、・・・反応は1人1人違います。
・・・それでいいと思うのです。
早くから、1つの夢を一途に追い求めるタイプの人もいれば
視野を少しずつ広げながら自分の夢を探し続けるタイプの人もいる。
世界的に名を成した人は前者のタイプが多いために、
夢を一筋に目指すことの素晴らしさが語られることも多いですが、そうじゃない道筋でもいいんです。
自分が実感として知る世界を少しずつ拡げながら、変わったり迷ったりする。
夢は何か、という結果ではなく、夢を決めるまでに経てきた経験や見聞きした世界、
変わったり迷ったりした1つ1つの積み重ねの厚みが、夢の厚みだと思うのです。
だから、働く人に出会ったり、仕事の体験をしたり
そんな風に、知らなかった仕事に沢山沢山出会う場面を創り
豊かな「迷う」体験を、こどもたちに提供していきたいと考えています。