私の好きな世界のMuseum:20プレイ ミュージアム(立川)

10館目には、私にとって特別な場所だった「こどもの城」を紹介した。じゃあ、20館目として選びたい特別な場所ってどこだろう、と、考えるまでもなく、書きたくて仕方がなかった場所がここ「PLAY! MUSEUM」。1階に、絵と言葉の美術館である「MUSEUM」、2階に子どもの屋内遊び場である「PARK」がある複合施設。どちらも、大人も子どももわくわくできる、それはそれは素敵な場所。

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子どもたちの鑑賞姿勢を軸にMuseumの紹介をしている私にとって、アート系の美術館を紹介するのは、難しい。訪問した時に最初に目に留まり反応するのは展示作品だけれども、展示作品の素晴らしさを伝えたい訳ではない。そういう意味でも、ここは、作品の素晴らしさだけに頼るのではなく、作品の「見せ方」、何をどんな順番で並べるのかという「編集」、その場でどう過ごしてもらいたいのかという「想い(理念)」が、本当に素晴らしかった。

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最初に感じたのは、動きのある場所だな、ということ。例えば建築的な目玉の1つである、渦巻き状の壁。中に入っていくにつれて、自分が動くペースに合わせて、1歩1歩見え方が変わる!変わる様が面白く、思わず動画で記録してしまった。1枚ずつの作品が静止画で並んでいるのではなく、そこで動きを伴って鑑賞する面白さ!(こんなの、はじめて。)

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見え方が変わる面白さは、エリックカールの展示でも感じた。展示室の壁に丸や四角にくりぬかれた穴はどれも魅力的で、見る角度によって、見え方が違う。

大きな壁があって、その一部に穴があいている。その穴の向うに何かが見えて、何だろう、と、近づいてみると、穴の側面にも模様があって、覗いてみると中の全体像が見える・・・という風に、見え方が変化して最後に観たいものに到達する過程が楽しいのだ。ここも、動画で残した。

こんな風に、作品は止まっているのに、自分の動きによってどんどん見え方が変わる感じ、というのは、まさに絵本を読む楽しみと同じだなぁと思った。作品は止まっているのに、自分がページをめくることによって、見え方が変わる。お話の流れに合わせて、早くめくったり、じっくり見たり、時には戻ったり・・・、そうするうちに、絵本の中の絵が動いているようにも思える、それと同じ世界観だなぁと気づく。

「絵と言葉」がテーマの美術館、として、展示は絵本作家の作品展が続くのだが、この企画をしている人は絵本が大好きなのだろうなぁと思う。絵本の絵と、言葉、そして、作者のメッセージをたっぷり伝えようとする想いが伝わってくるのだ。きっと私だけではない多くの絵本好きが、大好きな絵本の魅力を分かち合えたような満足感を得ているに違いない。

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2階のPLAY!PARKでは、その時の展示にちなんだ「遊び」のコーナーも用意されていて、とても素敵。できれば、MUSEUMとPARKとの隔てがなければ、もっと素敵なのになぁ。子どもにとっては、アートと遊びの間に境界線はないのだから。

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荷物を置いておくためのロッカー。バケツ型のサインといい、黒一色なのに踊っているような数字と言い、こんな小さなところも遊び心に溢れたMUSEUM。まさに「PLAY!」という名前の通り、企画し、展示し、運営している人たちの「遊び心」が一杯に感じられる場所。これからも、「今、一番大好きな場所」として、ずっとお勧めしていきたいと思うし、多くの子どもたちが、こんな風に楽しく絵本と出会えたらすてきだな、と思う。

■訪問データ

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PLAY! MUSEUM
-所在地:東京都立川市
-訪問日:2020年10月・2021年3月