私の好きな世界のMuseum:19ハーバード大学自然史博物館

Museumって、求めれば求めるほど、すてきな時間を提供してくれる。訪れた人が、もっと知りたい・もっと得たい・もっと学びたいって思えば、思うだけ、それに応えてくれる。そういう場所なんだなぁ、ということを教えてくれたのが、ここだった。

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ハーバード大学内にあるこの博物館は、植物博物館、鉱物学地質学博物館、比較動物学博物館の3つの博物館で構成される。
大学の所蔵物の展示であり、来館者が楽しめる工夫を凝らしているか、と言えば、決してそんな訳でもない。
植物博物館は精巧なガラス細工の「グラスフラワー」で有名。鉱物学地質学博物館は、理科の実験室のような部屋の、白いショーケースの中に整然と鉱物が並んでいる。そして、比較動物学博物館は、ショーケースの中にぎっしりと動物の剥製や恐竜の骨が並んでいる。
当時6歳と2歳の子どもたちにしてみれば、写真のついた専門書をめくるような、そんな博物館だったと思う。

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ところが、その「写真のついた専門書」を、息子はとても気に入った。最初に訪れた時はすべての動物をスケッチしようとし、2度目に訪れた時はすべての動物を写真に収めようとした。とにかく、そこに在る、自分の好きな動物たちを、何とかして自分の手元に置きたい、という気持ちになったらしい。

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言い尽くされた表現だけれど、すべてが圧倒的な「本物」だった。本物の展示がぎっしりと並んでいる様子は、来館者に向けて敷居を下げたり、興味を引くために安直な導入をしたりしなかったからこそ、彼の心をときめかせたのだと思う。

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2歳の娘は娘なりに過ごしていた。虫眼鏡で何やら観察中。

魅力的なMuseumは、訪れた人が、それぞれ自分の身の丈で楽しめるのだと思う。自分が心ときめくものを、それぞれの許容に合わせて、それぞれの楽しみ方で観賞できる。

息子は何度もここを訪れ、恐竜や化石について学ぶワークショップが開催された際には、そこにも参加した。博物館の持つ展示の要素だけではなく、そこの知的な奥深さも含めて、求めれば求めるほど、すてきなものが得られることを、充分に実感したことと思う。
本が好きな子どもたちが「困った時には本がある」と思えることが幸せなのと同様に、Museumを楽しんだ子どもたちが「知りたいことがある時にはMuseumがある」と思えるように親しんでくれたらすてきだな、ということを、改めて思った。

■訪問データ

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Harvard Museum of Natural History
-所在地:アメリカ合衆国(ボストン)
-訪問日:2014年5月4日・6月27日・7月18日・10月11日・2015年1月24日


■動物の剥製と出会ったMuseum

スコットランド国立博物館(エディンバラ)

ロンドン自然史博物館(ロンドン)

スミソニアン自然史博物館(ワシントンDC)

レッドパス博物館(モントリオール)