娘が、ボタン(機械のボタンではなくて、服に付いている方のボタン)に興味を持ち始めたと知った義母が
「いいものがあるよ」と奥から出してきてくれたボタンがありました。
13年前。私が企画開発を担当した商品に入っていた「ボタン」。
当時人気のキャラクターを使った、こども向けのお裁縫セットの中に入っていた付属品です。
初めて新規に金型を起こした商品でした。
(金型、というのは、プラスチックの形を作るために使う型です。
プラスチックは、いわば、たい焼きの型みたいなところに、高温で溶かしたプラスチックを入れ
冷えると、その型の通りの形のものができあがる、という風に製造しています。
この金型は、金属の塊で1つ作るのにコストもかかるので、いつもいつも新規で作るわけでもなく
過去の金型を活用して、商品の色やデザインを変えるなどの工夫をする場合もあります。
担当商品ジャンルの性質によっても違いますが、初めて新規に金型を作った商品、というのは
私にとってはすごく記念となる仕事だったのです。)
「これね、かーさんが、ずっと前に、お仕事で作ったボタンなんだよ。」
「この色もね、かーさんが決めたの。緑なんだけど、女の子が好きなカワイイ緑にしようと思ってこれにしたの。」
「このハムスターのお顔は印刷なんだけど、紙じゃなくて丸いところに印刷するから、ちょっとちがうの。」
あまりの懐かしさに、聴かれてもいないのに
ものづくりのウラ話を、こどもたちに、あれやこれやと語ってしまいました。
こどもに親の仕事を伝えるといい、というメッセージは、このブログでもお伝えしてきました。
その時に、こどもたちが、知っているもの・目に見えるものと合わせてお仕事が伝えられると
親御さんのお仕事が、なおのこと身近に感じられるのだろうと思うのです。
作ったものが目に見える仕事だけが、こどもに身近な仕事とも限りません。
きっと、どこかしら、こどもの知っていることとのつながりがあるかと思います。
システムならば、それが使われているお店や交通とか。
工場向けの部品ならば、納品先の工場で作っている商品とか。
できるならば、親御さんの仕事と関わりのあるものを、親子で感じに行く日があってもすてきです。
親の仕事を伝える、ことには、労働そのもの(=働く姿勢の尊さ)を伝える側面と、
その実績(=誰かの役に立てた成果)を伝える側面があると思います。
教育的な意味だけではなく、こどもたちが親の仕事を身近に感じ
「ぼくのおとうさん・おかあさんすごいんだ。」って想えるためにも、
成果の部分もぜひ伝えていけたら、と思っています。