サンタクロースのお手伝いをした日

サンタクロース

新卒で最初に勤めた会社は、おもちゃメーカーでした。

 

おもちゃメーカーにとって12月は、1年で一番の書き入れ時。

社員の多くが、週末、おもちゃ売り場の店頭で販売応援に立ちました。

管理部門も開発部門も、部署に関わらず、みんなが販売の現場に出るのです。

 

年末の週末が毎週出勤で、1日中立ちっぱなしの仕事。

大変だけれど覚悟してね、と言われていましたが

入社早々の私は、ちょっぴり楽しみにも感じていました。

サンタクロースのプレゼント選びの場にいられるって

なんだかすてきな気がしたのです。

クリスマス

実際の「プレゼント選びの場」は、多くのサンタクロースたちが、

マジックでマルをつけたチラシを手に来店されていました。

接客の場面があったとしても、目的のものを探す、という場合がほとんど。

実は、多く売り場で、販売応援の重要な役割は

接客よりも、売れた商品を補充する品出しでした。

 

だからと言ってがっかりした、ということはなく

我が子や孫に喜んでもらおうとする

パパサンタやママサンタの熱気が感じられて

おもちゃメーカーの一員としては、仕事の実感がもてる現場でした。

クリスマス

期待した程お役に立てる訳ではないけれど

みなさんに心配して頂くほど大変とも感じない。

 

そんな感想を持ちつつ、それでも、立ちっぱなしの足の疲れは感じながら

帰りの電車に乗ろうと駅に向かうと

店頭で、サンタクロースの格好をして

クリスマスケーキを売っている人に目が留まりました。

 

あら、お仲間だわ、って。

 

みんながお休みの日に

裏方の仕事をしているサンタ仲間だ、って。

 

そう思って意識してみると

私が、販売応援を終えたお店だって、お店の閉店までは、あとまだ3時間。

クリスマスディナーのレストラン。

交通機関。

 

誰かの楽しいを支える人たちが、こんなにも沢山いるのに

気がついていなかったなぁ、って思ったのです。

そして、この年自分も

わずかながら、支える側に立てたのかもしれないと。

 

自分の仕事が誰かにつながる。

「社会に関わって働いている自分」を、はじめて実感した時でした。