おもちゃのサブスクを調べてたら「おもちゃへの向き合い方」の基本が見えてきた

おもちゃのサブスクって良いのですか?と質問頂いたので、ちょっと調べてみました。
色々なおもちゃを試せるし、遊ばなくなったおもちゃの行き所にアタマを悩ませる必要もない。なかなかいいところに目を付けたサービスだね、と感じます。

でも色々調べてみると「うまく活用するために大事なこと」というのがありそうです。
そして、この「大事なこと」って、サブスクに限らず、子どもにおもちゃを選ぶ時には心に留めておきたい基本的な考え方。それが、サブスク、という切り口のおかげで、意識できたってことに過ぎない。

という訳で、サブスクの利用を検討している人にも、そうじゃない人にも役立つ「おもちゃを選ぶ時に大事にしたいこと」をお伝えしていきます。

なお、今回参考にしたのは、このサービスです。(と言っても、個々のサービスの説明は記事の意図とは違うので、基本的な仕組みを知るために参考にした、ということでご理解ください。)

キッズ・ラボラトリー



1.おもちゃのサブスクの大まかな仕組み

年齢に合わせた玩具が数点届き、一定期間(1~2カ月/延長可)利用して、返送。また新しい玩具が届く、という仕組みです。
料金・おもちゃの点数・貸出期間などで各社の違いを出しているようです。
また、保護者のリクエストへの応え方や、壊れた場合の対応などの細やかなサービス部分が、選ばれるかどうかの境目のようです。
なお、おもちゃの内容や選択基準については、オフィシャルサイトに事細かに記されている訳ではないです。まぁ、お客様によって送るものは違うのでしょうし。きっと「そこはお任せください!」なんですね。

2.利用する時に忘れずにいたいこと

最初は、便利そうでいいね、と思っていたサービスですが、仕組み上、ついつい陥ってしまいそうな「気になること」がいくつか思い当たりました。それは、サブスクというサービスが悪いのではなく、今までにも大人たちが誤解しがちだなぁ、と気になっていたことが、このサービスで今までよりも強調されてしまいそうだな、という危惧です。
そこで、子どもの遊びを保証するために、忘れずにいたいことを、3つ、お伝えします。

①無理に遊ばせても、楽しくない。

せっかく買ったおもちゃ、子どもが遊んでくれないと無駄遣いしたような、損をしたような気持ちになってしまい、ついつい強引に「これで遊ぼう」と声をかけてしまった経験、ありませんか?
買ったおもちゃだったら、「またそのうち興味を持つかな」と、少しそのままにしておいて、興味を持つまで待つ、なんて方法もあるかもしれません。でも、このおもちゃが手元にあるのが1か月、とか、2カ月、とか、期限が決まっていたら?そして、遊ばなかったとしても、決まった金額は払わなきゃいけないとしたら?
決まった期間のうちに、届いた全部のおもちゃで遊ばないと「もったいない」、と、ついつい思ってしまいませんか?なので、「これもやろうよ」「ママはこれであそびたいなー」とか、必要以上に誘ってしまうかもしれません。
小さな子どもたちは、大人に優しいです。「これやろう!」って誘われたら、多少興味がなくても遊んでくれることが多いです。もちろん、やってみたら楽しさに気づくかもしれない。でも、あんまり楽しくないけれど、大人が言うから・・・という遊び方の頻度があんまり多いと、本来「自分の好きや心地良さを味わう」はずの遊びが、「大人が喜ぶから、言われたことをやる」という行為に変わってしまいそうで、ちょっと心配です。
なので、1回の料金は、「おもちゃ●個分」の料金ではなく、「届いたおもちゃで楽しく遊べる○日間」の料金だ、と理解した方がいいと思います。「元を取ろう」なんて決して思わないでください。

②学びの順序やタイミングは人それぞれだよ。

このサービスを受け取る親子を想像した時、まず思いついて、そして、心配したことは、届いたおもちゃを見て、親がプレッシャーを感じないといいな、と、いうことでした。
「知育玩具」と気軽に言いますが、実は明確な定義はありません。〈楽しみながら学べる〉〈頭を使いながら遊ぶ〉〈教育効果がある〉・・・と、各社が言葉を駆使して伝えているだけ。(そもそも、あそびの専門家としては、学びの要素のない遊びなんてないと思うのですが・・・。)
ですので、「知育玩具」の扱うジャンルもとても幅広い。文字や数字など教科学習につながるもの・パズルや積木など発想を拡げるきっかけになるもの・ままごとやお世話人形など情操的な効果を期待するもの・・・などなど。そして、おそらく、保護者の方も、自分なりの「知育玩具」のイメージを持って、このサービスを利用することと思います。
ところが、ふっと自分の意図と違うものが届く場合もあります。あぁ、今月はちょっと意図と違ったね、と笑い飛ばせれば別にいいのですが、例えば、「英語に触れる玩具」「数を数える玩具」などが届いた時に、目に見えないプレッシャーを感じるかもしれません。「やっぱり英語教育は早くやらなきゃいけないのね」「数もしっかり教えなきゃいけない時期なのね」などと考え、子どもに「教えよう」としたり、興味を持たない子どもに不安を感じてしまったりしたら・・・。そんなプレッシャー、感じる必要ないよ、興味を持つタイミングは人それぞれだからね、と声を大にして言いたい。そして、自分たち親子が必要だと思わない「お勉強玩具」は、無理に使う必要はないのです。

③レンタルのおもちゃではできない楽しみ方もあるよ。

そして、1~2カ月ごとに返却するおもちゃでは、実現できない楽しみ方もあります。例えば、何年も同じもので遊び続けることの魅力や、同じおもちゃを使って変化する遊び方から子どもの成長に気づくことなどがあります。
また、もう1つ、「自分好みのアレンジ」ができません。大人も、購入した洋服に、自分なりの装飾を付けたり、裾を縫い直したりすることありますよね。機械好きさんは拡張したりパーツを増やしたりして、ものすごいメカに改造しますよね。子どもたちも、お人形の髪の毛をカットしたり、顔にお化粧してあげたり、積木にシールを貼ったり、車の色を好みに変えたり・・・と、もっとすてきな風にアレンジしたい、と思っているかもしれません。でも、レンタルではそこは我慢。
もちろん、我慢すること、ルールを知ることは大事です。借りているものは、自分好みに変えちゃいけない。でも、「自分好みにアレンジする楽しみ」も、どこかで保証してあげたい、とも思うのです。

3.おもちゃ選びのおすすめの方法

こんな風に「大事にしたいこと」を見ていくと、それは、サブスクを利用する時だけに必要な視点ではなく、おもちゃを選ぶ時の、大人の考え方の課題だと気づきます。
改めて、サブスクを使っても/使わなくても変わらない、おもちゃ選びの基本的な考え方をご紹介します。

まず考え方として、おもちゃには、主食のおもちゃおかずのおもちゃ、そして、おやつのおもちゃがあるとイメージしてください。

主食のおもちゃは、ブロックやつみきなど遊びの柱になるおもちゃです。何が主食なのかは、子どもによって違います。
ドールハウスのセットが遊びの柱になる子はビーズが食べ物になったり、積木で家具を足したり、ミニカーに人形を載せてお出かけしたりします。
一方、積木をメインに遊ぶ子は、積木で作った街や、遊園地の中に、街の風景の1つとしてミニカーが走り、ドールハウスの人形が歩いています。
つまり、自分にとっての遊びの中心になるものがあるのです。もっとも、子どもが「これが自分にとって主食」という風に意識するのではなく、自然にそういう遊び方をしている、という場合もあります。

この「主食」のおもちゃは、何カ月も、何年も遊び続ける場合が多いのです。そして、年齢に応じて、遊び方や関わり方が変わります。なので、積木やブロックなど、シンプルだからこそ懐が深く、変化も許容できる柔軟性があるものが「主食」になる場合が多いです。

それに対して、「おかず」の玩具は、「主食」に付け加えて遊びの幅を広げたり、空想や”つもり”を具体的にしたり、遊びを盛り上げることに役立ちます。ブロックの中でも、完成形が決まっているタイプのものなどが、イメージしやすいかもしれません。

そしてまた、「おやつ」と言いたくなるような流行りのおもちゃや、お出かけ用の小さなおもちゃもあります。音や光の刺激などで最初は興味を持つものの
すぐに飽きるようなものは「おやつ」と言っていいと思います。

このうち、「主食」のおもちゃは、じっくり選んで、そして、買うことをおすすめします。
1つの素材でも、年齢によって関わり方が変化し、新しい遊び方を試してみたり、自分なりに工夫したりします。

例えば、色のついた積木を、指示通りに積んで遊ぶ、というクイズ形式の玩具があります。「クイズに一通り全部解答できたらクリア!遊び終了!」って思うのならば、レンタルで使えば無駄になりません。

でも、実際はそうではないのです。

ごくごく小さい子どもに、この玩具を渡したら、たぶん手触りを楽しんだり、打ち合わせて音を楽しんだり、箱からガラガラっと出して喜んだり・・・というところから遊びが始まると思います。次に、色ごとに仲間分けにしたり、並べてみたり、自由に積んだりすることもできるでしょう。
それから、クイズの用紙があることに気づき、こんな、きれいな並べ方もあるんだね、と真似をしてみる。また、それをヒントに、自分なりの模様を新しく作るかもしれない。答えて終わりではないのです。

・・・と言う風に、遊び方は自然に変化して、1つのおもちゃを3年も5年も使い続けることができます。こういうおもちゃは、買った方がいい。
1か月や2カ月で返却してしまうのは、もったいないです。

一方、「主食」のおもちゃに組み合わせて遊ぶもの。流行りのもの。遊び方が限られていて、長く遊ぶことに耐えられないもの。・・・などは、サブスクのようなサービスを利用すると便利です。主食の遊びに適度な変化が期待できたり、年齢の変化によって興味が変わっても置き場所の心配をする必要がなくなります。
サブスクを利用しない場合でも、「買うタイミングやルールを決めておく」「リサイクルや、年下の友達など、おもちゃがたまらない仕組みを整えておく」など、適切な量や頻度が守れるような「我が家のルール」があるといいですね。

4.まとめ

大人たちも、みんな子どもだったのに、子どもだった時の気持ちって忘れてしまうんですよね。そして、子どもが使うものなのに、つい大人目線・大人基準で選んでしまうことが、いかに多いことか!
おもちゃを選ぶ時には、大人の想定した遊び方だけがおもちゃの使い方じゃないことできること/分かることが目的ではないこと好みじゃないものがあってもいいってことを、改めて心に留めて頂きたいなぁと思います。そして、何より、おもちゃ、という道具を介して、子どもたちと楽しい時間を過ごしてもらいたいのです。
知育とかなんとかではなく、親子の楽しい時間に貢献できることを、おもちゃたちも、きっと喜んでいると思います。

すてきなおもちゃに、そして、すてきな遊びに、出合ってくださいね!