ハロウィンに感じた地域の暖かさ

ハロウィン

日本でもすっかり「ハロウィン」というイベントが盛んになりました。

コスプレという要素で大人もこどもも参加できること、お菓子をあげるという分かりやすい行動があること、

夏休みとクリスマスの間の商業的空白期間にうってつけの商材だったことなど

なるほど、流行る理由も分かる気がします。

 

2014年のハロウィンは、ボストンで過ごしました。

日本の祭りの風習やしきたりが地域によって違うように、

ハロウィンの過ごし方もきっと、国や地域によって違うのだと思います。

だからこれは、私が偶然経験することのできた、ある地域でのお話です。

 

私の味わったハロウィンは、地域の大人たちが、地域のこどもたちを喜ばせることを楽しむ日、でした。

 

地域ごとに「ハロウィンの盛んなエリア」がありました。

家の近くの「ハロウィンの盛んなエリア」に行くと、通りは親子連れで一杯。

すっかりハロウィン仕様に装飾した家の人たちは、お菓子の入ったカゴを抱えて玄関ポーチに座り

こどもたちが訪れるのを待っていました。

 

10月末のボストン、まして日が落ちてからの時間は本当に寒いです。

仮装したこどもと一緒に歩く大人たちは、もうダウンジャケットを着ていました。

そんな中、地域のおじいちゃまやおばあちゃまが、玄関前に椅子を出してきて座り

1人1人のこどもたちと挨拶を交わしながら、お菓子を渡してくださるのです。

 

通りには、仮装した親子が連なって歩いていますから

家の中に戻るヒマもない、と言えばその通りかもしれません。

でも、寒空の下、後から後から訪れるこどもたちを待ってくださる姿からは

何か、ずっと続いてきた、地域とこどものつながりを感じました。

おじいちゃま、おばあちゃまたちが、こんな風に子育て世代を

応援してくれているんだな、って、そんな気持ちさえ感じたのでした。

 

 

袋一杯にお菓子を頂いた帰り道、ほとんど人通りのない道のアパートのドアの前で

仮装した大学生が2人、ぼんやりと立っていました。

「Happy Halloween!」と挨拶を交わして通り過ぎようとすると、彼らもお菓子を準備して待っていました。

きっと、つい数年前まで、彼らも袋一杯のお菓子を、うきうきしながらもらったのだろう。

そして、そんな楽しい思い出があるから、今度はお菓子をあげる側になろうと思ったのかもしれない

そんなことを思いました。

自分たちのアパートの前は、お菓子目当てのこどもが大勢通る場所じゃないけど

それでも準備しようと思ったんだなぁ、と想像すると

誰かにしてもらったことを、次の誰かに伝えようとする連鎖が、とてもとても暖かく思えたのでした。

 

コスプレだけでも、お菓子をもらうだけでもなく

地域の大人たちが、地域のこどもたちを喜ばせようとする

その連鎖がずっと続いていることが、ハロウィンという行事なのかもしれない、

そんな想いを抱きました。