セミは 土の中の暮らしが幸せだったかもしれないじゃないか?

夏の木立

すっかり寒くなりました。

もう真冬の陽気もすぐそこ、という日に季節はずれな「セミ」のお話です。

 

「地面の中で7年も過ごし、やっと地上に出てきたと思ったら

たった1週間で死んでしまう」というのが、セミの一生への一般的な理解です。

(地面の中で過ごす年数はセミの種類によって異なるとか、

実は地上で生きる時間は、1週間よりももう少し長いかもしれないとか、諸説あるようですが。)

 

ある時から、この言い方に疑問を感じるようになりました。

この表現って、土の中の暮らしが地味でつまらない、あるいは意味のないもので

長い間耐えてやっと地上に出たのに、そこからの人生が短くてかわいそう、という

そんな価値観を感じます。

けれど、セミにとって本当に地中の生活ってつまらないものなのでしょうか?

実は、暖かい地面の下で、木の根から栄養を吸いながら成長する暮らしが

セミにとっては快適だったのかもしれない。

あるいは、次世代に命をつなぐために、すごく大事な期間として

生きがいを感じていたかもしれない。

 

 

何にせよ、自分の価値観だけで、他者の一生をとやかく言うてはいかんな、と思ったのでした。

私たち人間同士でも同じです。

どんな仕事や、どんな働き方や、どんな生き方にやりがいを感じるのかは、人それぞれ違います。

外からでは分からない、当事者にしか分からない快感やこだわりもあるでしょう。

 

だから、何もセミの一生に限らず

他者の在り方を、自分だけのものさしで決めてはいけないと思うのです。

1人1人、誰もが自分らしい在り方を大事にし、それを周りからも尊重されていたいと

改めてそんな風に思うのでした。