ゲームの社会現象に思う

あそびの世界

社会人になって最初のお正月休みのことでした。

電話帳かと見紛う程に分厚い、銀色のきらっきらの表紙の「ビジネス本」を

夢中になって読んだことを、覚えています。

メディアミックス型のマーケティングの存在をそこで知りました。

おもちゃメーカーに就職しながらも、総務に配属されて

おもちゃの業界をなかなか肌で感じるチャンスの多くなかった私にとって

階段を1段ずつのぼった先に広がる世界の大きさは、

くらくらして、想像もつかない程のものでした。

 

ゲームの原案を考えた作者が、昆虫採集の発想を盛り込んだゲームを作ったことや

オタマジャクシをモチーフとしたデザインのキャラクターのイラストが載っていたことを

よく覚えています。

手法としては、メディアミックスなんだけれど、

最初の「少年として実現したかった世界観」が根底にあるから、

メディアを変え、広がっても、世界が変わらないんだなぁ、と

まぁ、当時そこまで感じたかどうかまでは、覚えていませんが・・・。

 

その本は、アメリカ進出と、その成功までが綴られていました。

その後のマーケットの広がりや、こどもからの支持は、言うまでもなく。

今また新しいスタイルのものが登場し、社会現象になっています。

 

賛否両論の意見に触れ、あの日読みふけった本をぼんやり思い出しています。

原案者にとっては、きっともう自分の手を離れてしまった存在だろうけれど

この現状をどう感じているんだろうか?

彼が実現したかった昆虫採集的な楽しみは、ここに実現したのかな?

 

想いを形にすると、そこに人が集まり、

最初の想いは、集まる人ひとりひとりの想いになり

ひとりひとりが、それぞれ違った方向に想いを膨らませて、次のものを築く。

最初の想いだけに縛られても発展しないし

広がりすぎても本来の想いから離れていくのだろう。

 

人を惹きつけるコンセプトを守り育てることの難しさを、しみじみと感じるのでした。