職場復帰3: 働く母という存在が組織にもたらすメリットを発信する

働く母は、組織の中では、なんとなく申し訳ない想いを持つことが多いように思います。

時短で働いていたり、こどもの都合でお休みが増えたりと、

みんなに迷惑をかけ続けていることを、不安に思ってしまうこともあります。

けれど、その制約が、逆に新しい可能性につながる場合もあります。

 

私の場合は、経験値を言語化・ノウハウ化することでした。

出産前は、自分で企画した仕事は最後まで自分で見届けることを大事にしていましたが

復職後は、時間的な制約から、他のスタッフにお願いすることになりました。

イベントなど、企画と準備、事務手続きは担当できても、週末や出張を伴う本番は

チームの他のスタッフにお願いすることになり、あぁ一番やりがいを感じる場面なのに、と

物足りない想いもありました。

 

けれど、実際始まってみると「物足りない」と呑気なことを言っている場合ではなくなりました。

当日スタッフへの準備と引継ぎの必要性は分かっていたつもりでしたが

フタを開けてみれば、私が想定していた以上に精度を高める必要がありました。

 

自分1人では無意識にやっていたことを言葉にし、経験値の裏付けとなる知識を学んだり

伝え方を思考錯誤したりと、私にも成長のチャンスがありました。

組織にとっても、同じことができる人が増え、複数のイベントを同時に動かすことができるようになりました。

 

これは私個人の経験に留まりません。

人に仕事がついてくるような働き方の組織では、その人がいなくなれば

ノウハウも失ってしまう危険性があるのは、しばしば耳にする話です。

出産から復職という働き方の変化は、業務の関わり方への変化をもたらし、

個人の経験値を一般化できるチャンスになるかもしれません。

あるいは制度の見直しにつながる会社もあるでしょう。

 

そして、働く母の1人としては、「組織へのメリットになる変化」を誰かに気づいてもらうのではなく、

自分から発信していく、という意識を持ちたいと思うのです。

だからって、申し訳ない気持ちが消えるほど、話は簡単ではないけれど

「今まで通りにいかない変わりにこんなメリットを提供したい」というスタンスが持てれば

復職への気持ちは随分変わるのではないかと考えています。