おすすめ絵本『ええことするのはええもんや!』

絵本

『おこだでませんように』で、大人たちをはっとさせた
くすのきまさしげさんの絵本は、心ゆさぶられることが多いです。

今日は図書館で手にとって、感嘆したこの絵本。
『ええことするのはええもんや!』 くすのきまさしげ作・福田岩緒絵/えほんの杜 


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主人公の「ぼく」が、電動車椅子の電源が切れてしまった「おっちゃん」を
何気なくお手伝いしたところから話が始まるこの絵本。
通りかかるみんなから「えらいね」とほめられて
ほめられる快感を目的にしてしまった「ぼく」の姿が
ものすごくリアリティがあって、
その浮かれた気持ちも、後悔も、どちらも、よく分かるのです。

「いいことしましょう」という、よくあるお題目からもう1歩進んで、
「ほめられる自分に酔う姿」をちゃんと描いたところに、好感が持てるのでした。

高校生の頃の私は、こんなことばかり話していました。
ボランティア、という活動の形は今ほど一般化されていなくて
自分の活動を説明すると、必ず「えらいね」と言って頂きました。
そして、そう言葉をかけて頂くたびに
「認めて頂ける誇らしさ」や
「楽しくてやってるだけなのに過剰に褒められる居心地の悪さ」や
「イイ子ぶってる、って思われてる疎外感」を感じて
説明をすることが面倒に思えることも多々ありました。

そんな気持ちの間で揺れつつも、私が納得した考え方は
「いいことだからやっているのではなく、自分がやりたいからやっている」という
ごくごくシンプルな想いでした。
その想いは、今も変わりません。

そんな自分の過去を思い出しつつ読むと
絵本の中で、最後に「おっちゃん」のお宅で麦茶を飲む「ぼくたち」の清々しいこと!!

「ええこと」って何か?
私だけではなく、この本を手にとるおとなたちにも、こどもたちにも
ちょっぴり立ち止まって考えるきっかけになれば、と思うのでした。