【小さな遊び】Museumって言葉が日本語にもあればいいのに

【小さな遊び】はFacebookページ[あそびのじかん]
日々掲載している遊びへの視点を、まとめてお伝えする
〈あそびコラム〉です。


2019年7月22日
【あそびをおもう】
美術館とか博物館とか音楽鑑賞とか
「良いもの」に出会う場に
子どもたちも、あまり気構えずに
訪れることができたらいいのに、と
思っています。

子どもたちが訪れたらいい、
というのは
子どもだから騒いでもいい
って意味ではなくて。

子どもは騒ぐ、とか、走る、とか
決めつけないで
その場にふさわしいマナーを
ちゃんと学べばいい。
きちんと伝えれば、彼らも分かります。

最初っから、子どもにはできない、
子どもの場所ではない、って決めつけて
遠ざけていてはもったいないと
思っている訳です。

そして鑑賞マナーが守れない時に
「親のしつけがなってない」とか
「こんなところに子どもを
連れてくるべきじゃない」とか
言わないことも大事だと思うんです。

まわりの大人たちが
怒るのではなく、
無視するのではなく
同じ、美しいものを大事にする仲間として
伝えていけばいいんじゃないかな、って。

言い方も、フラットに。
言われた方も、しかられた、とかじゃなく
「伝えてくれてありがとうございます」って
フラットに。

鑑賞マナーを守ることは大事だけれど
マナーを身に付けるまでの過程は
他の大人たちも伝えつつ、
見守れたらいいのに。
そうすれば、親子にとっても
きっともう少し身近な場になるのに。

美術館とか博物館の収蔵品に出会い
あるいは心動かされる音楽に出会い
美しいな、とか、心地よいな、とか、
これは何だろう?とか、
自分もやってみたくなってきたぞ、とか
そういう気持ちを沢山味わえたらいい。

そういう機会を少しずつでも
作っていけたらいいなぁ。


2019年7月29日
【あそびをおもう】
子どもと最初に行った
「鑑賞」の記憶は
教文館での藤城誠治展でした。
1歳のムスコを抱っこして
一緒に行きました。
ムスコは、影絵のゾウさんを観て
「じょー、じょー、じょー♪」と
嬉しそうに声を上げました。
近くにいた年配の女性が
にっこり笑ってくれました。

大人が美しいと思うものを
ごくごく小さな子どもも
存分に楽しめること。
その姿が、親にとっても嬉しいこと。
幸いなことに、最初に、
その気持ちを味わうことにできました。

だから、他の子どもたちや
お父さんお母さんたちにも
その気持ちを伝えていけたらなぁと
思っているのです。

子どもにとっても
子どもを連れた親にとっても
美しいものに出会う場所が
敷居の低い場所になれば、いいよね。


2019年8月2日
【あそびをおもう】
美術館でも
博物館でも
科学館でも
そこにあるものは
究極は同じで
人の心を動かすものが
展示されているんだと思う。
もっと言えば、
音楽や、舞踏や、演劇や、スポーツも
心動かされるから
惹かれるんだと思う。

子どものうちに
豊かな感性を・・・なんて
とってつけたようなことを
言おうとは思わない。

でも、人生のごく初めの頃に
心動かすものに出会えたら
きっと日々が
わくわくしたものになるだろうと思う。

子どもに何を提供するのか、って
あまり肩肘張らないで
すてきなものに出会えたら
人生しあわせだよね、くらいに
鷹揚にいたい、と思うんだ。

いつもと違うすてきなものに出会う

って、
楽しいスイッチが増えることの
きっかけになると思う。


2019年8月27日
【あそびをおもう】
かがくのとも展に
行ってきました。
絵本の中に入ったような、とは
まさに、このことだなぁと思う
すてきな展示でした。

今までに訪れたことのある
科学系の展示の施設には
仕組みを見せたり
動きに興味を持ってもらうために
ボタンを押すと電子で動いたり
モニターで説明したりするような
そういう展示が多くあります。

もちろん子どもは喜ぶけれど
本来伝えたい仕組みが伝わらないまま
ただ、やみくもにボタンを押したり
電子的な操作を楽しむ場合も多く
企画した人の思い通りには
いかないもんだなぁ、と思いながら
見ていたことが多かったのです。

でも、今回の「かがくのとも」展は
まさに絵本の中に入ったようで。

自分の手でページをめくるように
穴をのぞいたり。
ボードめくったり。
音を聴いたり。
触ってみたり。
鼓動を聴いたり。
そういう、自分の感覚を使って
展示を鑑賞すれば
絵本で伝えていた世界を
もっと深く感じられるようでした。

「かがくのとも」ファンじゃなくても
科学にすごく興味がある訳じゃなくても
充分に楽しめそう。
そして、日常で、
似たような虫に出合ったり
ご飯を食べたり
ふっと自分の身体を意識した時に
「あの時観たよね」って
自分の経験として思い出せそう。

ムスメはずっと鼓膜の実験をしてたし
私とムスコは夜の生き物クイズを出し合い
セミの声に本気で耳を傾けた。

子どもに提供するものは
こうありたいなぁ、と
しみじみ思うのでした。