プロフィール

しみずみえ

こどもの育ちとあそびの専門家。
玩具メーカーでの商品企画開発、KCJ GROUP 株式会社でのキッザニア東京の創業に携わったのち独立。親子教室の講師、保育園の立ち上げ支援などに携わる。
現在は、親子あそびの専門家として、こども/親子のための活動プログラムや展示コンテンツ等の企画、親子ワークショップの実践、こどもに関わる大人のための講座や研修等を行う。2児の母。
著作『あそびのじかん-こどもの世界が広がる遊びと大人の関わり方』英治出版

あそびのじかん こどもの世界が広がる遊びとおとなの関わり方 [ しみずみえ ]

 

〔アドバイザー業務〕
オリックス水族館株式会社様
  サステナビリティ推進プロジェクト 「AQTION!(アクション)」アドバイザー
株式会社Palett様
  パーソナライズ幼児教育キット「クラウンボックス」アドバイザー

〔学び・所得資格〕
保育士・チャイルドマインダー・メンタル心理カウンセラー
童具館 認定講師・Touch Hugインストラクター

〔略歴〕
2000年   慶應義塾大学商学部卒業
2000~05年 玩具メーカー エポック社にて就業
      〈総務部 及び 玩具の企画開発に携わる〉
2005~13年 キッズシティージャパン(現KCJ GROUP)にて就業
      〈キッザニアの創業・コンテンツ開発・新規事業開発等に携わる〉
2014~15年 ボストン在住
      〈在米日本人向け「おはなし会」を主催〉
2015年   親子あそびの専門家として、個人事業開始
2016~20年 個人事業と並行して、フレーベル館にて就業
      〈認可保育園の立上げ・保育活動支援・子育て支援等に携わる〉 


<これまでの活動と想い>

私に居場所を作ってくれたのは、こどもたちだった

こどもと関わる活動を始めたのは、高校生の時です。
学校で居場所を作ることを難しく感じていた頃、「おもちゃライブラリー」のボランティアで出会ったこどもたちが真っすぐに私を受け入れてくれたことが、何より嬉しかったのです。その喜びが、その後も、私を活動へと駆り立てたように思います。
おもちゃライブラリーをきっかけとして、高校から大学の間、こどもたちとの活動に、いくつも取り組んできました。地震後の地域で遊ぶ活動、野外キャンプリーダー、人形劇・影絵劇の公演、児童養護施設の訪問、小学生向けサマースクールの運営・・・。
SNSもなかった頃です。福祉センターのチラシや、知り合いの紹介や、自治体の広報紙から、こども向けの活動の情報を見つけ、電話で問い合わせ、そして、参加していました。
それだけの手間をかけてでも、活動したい想いが強かったのです。私の居場所と役割がある、そのことを、本当に有難く感じていました。

しみずみえ学生時代

目指したいと言えるものがない私だから、目指せることがある

そして迎えた就職活動。

その頃、自己分析の1つとして、幼い頃からの自分の好きだったことを振り返ることを勧められました。好きだったことは思い出せたし、1つ1つに懐かしい記憶もあったけれど、自分のこれからの仕事に結び付けたいと思うほど、強い「好き」は思い至りませんでした。小さい頃から持ち続けた夢とか、何時間も集中できるくらい好きなこととか、そう思える対象が浮かんでこない自分が、無趣味で、面白味がなくて、空っぽな、つまんない人間のように思えて、何だかがっかりしました。
そして、がっかりした気持ちの底で、せめて私が胸を張って「ずっと続けてきた」って言えるものがあるとしたら、それは、こどもと関わることしかないよね、と、改めて気づきました。

その時に思ったのです。
これから大人になるこどもたちが、今の自分みたいな思いを味わうことのないように。仕事を選ぶ時の指針になるくらい、大好きでわくわくする何かと出会えるように。そのために、こどもたちに、楽しいものを、沢山沢山提供できることを仕事にしたらいいんじゃないか、って。
「目指したいことが見つからない」って思って、その虚しさを味わった私だからこそ、これから大人になるこどもたち、ひとりひとりが、好きなことを見つけることのお手伝いをする人になることを、目指せるんじゃないかな、って。

企画開発は、モノに想いをのせる仕事だった

その後も、就職活動は決してスムーズに進んだとは言えませんでしたが、ようやく玩具メーカーとのご縁があり、入社2年目から、玩具の企画開発の仕事に携わることができました。
おもちゃ、というモノを通して、楽しいこと、大好きなこと、ずっと熱中できるものに、こどもたちが出会ってくれたら、と思っていました。
担当した商品は20以上。手作りを楽しむもの、ままごとセット、おしゃれを楽しむもの、英語などの新しい知識に触れるもの・・・とジャンルも多岐にわたります。自分が関わることのできる領域が広い、魅力的な仕事でした。担当した商品で、こどもたちはどんな風に楽しむだろうかと、遠くの誰かに想いを馳せながら、企画を考えていました。
でも同時に、こどもたちと直接出会えないことに、ちょっぴりの歯がゆさも感じていたのです。

「目指していたものがここにある!」と思って新しい場に飛び込む

そんな生活の中、目にした小さな小さな新聞記事。
〈こどもが遊びを通して仕事の体験ができるテーマパークを開設〉
私が就職活動の頃にぼんやりと考えた「将来につながるような好きに出合う」をまさに直接的に実現できる場所だ、と思いました。私が目指していたものがここにある!と、ひらめきのようなものがあって、一緒に働きたい、と、すぐさま電話をかけたのです。
それが、キッザニアでした。
そして、企画スタッフとして、立ち上げに携わりました。

キッザニアでの仕事は本当に楽しかった。自分が頑張れば頑張っただけ、何かが形になっていく、そして、こどもたちの真剣な表情を毎日観ることができる、働きがいのある職場でした。

キッザニア以外の可能性を試してみたくなった

繰り返しになりますが、キッザニアでの仕事は本当に楽しかった。
こどもたちが真剣に取り組む表情や、何かをやりとげてぱっと輝かせる笑顔が見られることも幸せでした。
キッザニアの施設以外での仕事体験プログラムや、学校向けの授業プランの開発など、幅広い仕事に取り組むことができました。また、2人の子どもを授かり、産休と育休を取得し、働く母という立場にもなりました。
キッザニアは、ずっとずっと、大好きな場所でした。

だからこそ、家族で1年間ボストンに滞在することが決まった時、自分の人生を次のステージへと進めるには、これが唯一のチャンスかもしれない、と思いました。キッザニアを辞めたかったわけではないけれど、「キッザニア以外の就業先を選ぶ可能性」を残したかったのです。

キッザニアでは8年3カ月働き、家族の海外赴任を理由に退職しました。

目的はないけれど独立してしまった

2015年春、1年間過ごしたボストンから帰国し、個人事業主として仕事を始めることにしました。
漠然と親子のために役立つことがしたいと思っていましたが、業務上、個人で始めることの必然性があった訳ではありません。それよりも、第一子が小学校に入学したことの方が、働き方を考える上での大きな決め手になりました。子どものサポートが必要な時に、すぐに身動きが取れる働き方でいたかったのです。

キャリアを考えることは、「仕事」だけではなく「生き方」を考えることだと言われています。その「生き方」は、自分だけではなく、家族の生き方も含まれるし、その家族の状況もどんどん変わっていくものです。

時間が経って振り返れば、この時は、〈家族の状況も含めたキャリア〉という視点で決めた選択だった、と思えます。ただ、実は、長い間「あまり目的意識もないのに、独立してしまったこと」が負い目でもありました。自分は、何を目的に個人事業主になったのだろう、って。

まずは、自分に何ができるかと、無我夢中で手を伸ばしました。当初は、キッザニアの経験を生かし、企業が自社で実施する「仕事体験」のプログラムを企画したり実施したりすることをメインの仕事にしたいと考えました。(だから、こども×おとな×しごと、という看板を掲げました。今では〈×しごと〉の部分に関することは、メインの業務とは言えなくなっていますが、子どもたちの仕事体験という自分の実績と、そこから学んだこと/気づいたことを今も大切にしたくて、名称はまだそのままにしています。)「しごと」というキーワードが出てきたことで、子どもだけではなく、大人たち、特に母親たちに対しても、自分の「しごと」や「働くこと」に対して誇りを持てるような、ワークショップを実施していくことも大事だと気づきました。

こども、親子、遊びに関わることならば、何でもやる、やりながら考える・・・とは言いつつ、「何でもできる人」では仕事獲得は難しく、自分が何ができる人なのか明確にすることが、大きな課題でした。

「あそびの専門家」と名乗れるようになっていた

そんな無我夢中の中で、自分の名刺代わりとなるような書籍を出すことを勧められ、色々な方にお世話になって本を出版しました。『あそびのじかん』という題名です。今までに自分が関わった来たことって「あそび」だったんだね、と、そこで改めて気づいたのです。

『あそびのじかん』と言う本のおかげで、あそびに関するお仕事を頂けるようになり、実績を重ねるにつれて、自分への自信がついてきました。「元キッザニアの人」という自信ではなく、自分がコツコツやってきたことへの自信。その頃から、自然に「あそびの専門家」と名乗れるようになってきました。

「あそび」には、楽しくって、面白くって、うきうきする面もあります。同時に、もっと知りたい、できるようになりたい、というパワーを生み出したり、自分の好きなことを見出したりするような、未来につながる面もあります。
就職活動の時に、ぼんやりと思い描いた、「将来につながるよう程に、わくわくするもの」は、まさに「あそび」を通して出会えると改めて思うのです。

学生時代の子どもたちとの活動、玩具の企画、キッザニアの企画、そして、独立してからの仕事の実績や、母親として子どもや仕事に向き合った経験、そのすべてを今の自分の財産として、親子がすてきな遊びに出会えるような取り組みを、これからも続けていこうと思っています。

思い描いている夢。こどもミュージアム

こどもとの向き合い方、〈あそび〉や〈まなび〉のこと、働く母やフリーランスと言う立場で改めて考えた〈働くこと〉など、ふと気づいたことや考えたこと、言葉にして残したい想いを、【コラム〈日々の気づき〉】として綴っています。誰かの心に届いたら嬉しいです。