「自由にあそぶ」には どうすればいい?

自由あそび

『あそびのじかん』を読んで頂いた方たちから、

自由にのびのび遊ぶのがいいのは分かるんだけれど

実際どうしたらいいの?と、質問を頂くことがあります。

自由になんでもいいよ、って言われても、逆になにしていいのか分からないですものね。

〈あそびのじかん〉のfacebookページで紹介した「自由あそび」のための大人の振る舞い方です。


自由な遊びがいいのは分かるけれど・・・

遊ぶことは学ぶことであり、学ぶことは遊ぶことだよね、
と考えているわけですが、
どんな遊びでも学びと等しいか、と言えば、そうでもない。
誰かに押し付けられたり、制限されたりする遊びではなく、
子ども自身から、わくわくする気持ちがあふれてくる
「自由な遊び」じゃなくっちゃね、と、
きっと誰でも感じることでしょう。

大人のひとたちから、
「自由にのびのび遊ぶのがいいのは分かるんだけれど、
実際どうしたらいいの?」と、質問を頂くことがあります。
子どもが遊んでいる姿・・・
例えば、ひたすら絵の具をぐちゃぐちゃしているとか、
泥水をかきまぜているとか、
ダンゴムシを丸めているとか、そういう姿をを見ると、
汚れるとか、危ないとか、そのやり方は違うよ、とか、片付けが大変とか、
色々気になって、つい声を出してしまうんですよね。

大人の気持ちをちょっと切り替えるきっかけとして、
まずは、遊びは大人の想定外が沢山あるから魅力なんだよね、
ってことに気づいてもらえたら、と思っています。

例えば、大人が動きのあるおもちゃを作っていると、
子どもがやってきて「どうやって作るのー?」と聞く。
大人は教えるのが嬉しいから教える。
でも、子どもは、作り始めたら自分の作りたい方向に没頭するので、
時に、「動くことを放棄したおもちゃ」を作ることもあります。
動く仕様よりも、他の造形に夢中になってしまう。

その時に、「あ。それいいね。」って言うこと。
「それもいいね」でもいい。「おもしろいね」でもいい。
いずれにしても、大人の想定や、自分が教えた方向と違っても、
1人1人のあそびのかたちを肯定すること。それが最初の1歩。


おとなの想定外も肯定する

「ゆらゆら人形」を作った時のお話。
ゆらゆら人形は、紙皿を2つ折りにしたものに
顔や手足のパーツを貼ったお人形。
左右にゆらゆら揺らして遊びます。

ゆらゆら人形01

(↑これはエルサを作ったそうです。)

でも中には、構造的にゆらゆらできない「ゆらゆらしない人形」も生まれます。

playtime160909

左側は、ゆらゆら部分が切り取られてる。
右側は、大幅にはみ出してる。

その時に。
「あ。それいいね。」
って言うこと。1人1人のあそびのかたちを肯定すること。
それが最初の1歩だと考えています。


1つだけ「おとなのスイッチ」を切る

大人の想定外も、いいね、って思ったらいいんだな、
その気持ちが持てたら、いよいよ本番。
それは、何か1つだけ意識して「おとなのスイッチ」を切ること。

例えば・・・

  • 今日は日没まで目一杯公園で遊んでOK。(時間のスイッチ)
  • 工作の材料を際限なく使ってOK。(もったいないのスイッチ)
  • 洋服が一杯汚れる遊びもOK。(先の見通しのスイッチ)
  • おもちゃを「普通の使い方」しなくてもOK。(常識のスイッチ)

1つだけでいいんです。
きっと、こどもの「いつもと違う遊び方」を見つけることができます。

 

<時間のスイッチ>

例えば、心理的な抵抗が少なく試しやすいのは、「時間のスイッチ」。
休みの日。どこかお出かけの予定を入れる変わりに
「さぁ今日は夕方まで公園で遊んでいいよ」とか
「気が済むまでブロックやっていいよ」とか
そういう日を作ってみると、いいかもしれません。
その日は夕飯だって準備に時間のかからない方法でいい。
〇時までに帰らなきゃ、と思わなくていいから、
おとなが急に気がラクになります。

<もったいないのスイッチ>

作る・描く・組み立てる・・・など、創ることが好きなこどもの場合は
もったいないのスイッチを切ると、創作がどんどん広がる場合があります。
我が家の例では、絵を描くことが好きな息子に
スケッチブックだけは「もったいない」って言わずに提供し続けました。
3歳の頃から、100円均一の1冊40枚のスケッチブックを、
週に3冊くらいは買ったと思います。
他にも、セロテープ。折り紙。工作の材料など
目一杯使って楽しめる物は、色々あります。


あれもこれも自由に・・・というと、結局どうしていいか分かりませんが
何か1つ、これだけは制約を加えないって思うと、分かりやすく、行動につなげることができます。
そして不思議なことに「これ1つ」のつもりが、意外と思考が解放されて、
他のところまで寛大になることも多いものです。

その結果生まれた
「いつもと違う遊び方」
「楽しそうなこどもの姿」
「想像してなかった展開」
それを、大人が楽しむ気持ちを持てると、
あそびのじかんが解放された時間になると思うのです。


1つだけ、大人スイッチを切ってみる。
ぜひ、試してみてください。