【小さな遊び】子どもの目線で見る

カラフルボトル

【小さな遊び】はFacebookページ[あそびのじかん]
日々掲載している遊びへの視点を、まとめてお伝えする
〈あそびコラム〉です。


2019年8月6日 ·
【あそびをおもう】
すっごく嬉しいことがあったんです。
聴いてください。

受講している講座の実習があり
ぼうけんあそび場で半日過ごしました。
子どもたちに、遊んでもらいました。

その中の1人の小さな女の子。
水遊びの場所で
しぶきが顔にかかるほど、水の近くで
でも、自分からは手を出さず
しばらく、じーっと立っていました。
そのうち、しゃがんで、水に触れ
置いてあったバケツやジョウロに触れ
少しずつ、少しずつ、遊びを始めました。

私は彼女が遊んでいる近くにいました。
使えそうなコップやなべを
彼女の手の届くくらいのところに
そっと置きました。
そのうち、
水を汲んだり流したりはじめて
私はそれを観ながら、
彼女と一緒に、
笑ったり驚いたりしました。
水がじゃーっと流れてきたら
「びっくりしたね」
「うん、びっくりしたね」と
言い合いました。

最後は手をつないでくれました。
初めての人が苦手なお子さんなんだって
保護者の方が驚いていました。
でも、そんなことなかったよ。

うれしいな。
誰かと心が通うって
こんなに嬉しいんだな。

その一連の時間が
「すっごく嬉しかったこと」です。


2019年9月17日
【あそびをおもう】
1人、自分の世界で遊んでいる
少年がいました。
床に寝転んで、電車の目線になって
手に持った電車を走らせていました。

私は、手を伸ばせば届くくらいの所で
長い積木で、坂を作っていました。
彼の持っている電車の幅の坂道。

彼はちょっとした拍子に、
ふっと私の方に顔を向け、坂道を発見。
あぁいいものがあるね、という顔をして
黙って、坂道のてっぺんに電車を置き
滑って走る様を見てました。
下まで走ると、また一番上へ。
何度も繰り返しました。

見ていると、電車が行き過ぎないようにと
ストッパーのつもりで置いた積木が
電車が走り下りてぶつかる度に
ぱたん、ぱたんと倒れます。
思ったより勢いがつくんだなぁ、と思って
もう1つ積木を増やしました。

そうしたら、彼にひどく怒られました。

彼は、電車が走るのだけを
楽しんでいたんじゃなかった。
積木が、ぱたん、と倒れるのも
楽しんでいたんです。

何より、私は、
最初のきっかけを用意したからと
その坂道を勝手にいじっていいような
気持ちになっていました。
でも、子どもたちに、
自分で遊びを作って欲しいと思うなら
彼が使い始めた時に
私は、もうその遊びには
手を出さない方が良かった。
その場面での、私の役割は
新しい遊び方の
入り口を見せることでした。

ついつい、手を出し過ぎてしまうこと
きっと今までにもあっただろうなぁ。
抗議してくれる子どもの声を
ありがたいなぁ、と思うのです。

遊んでいて
悪気はなくとも
子どもの意にそぐわないことを
つい、やってしまうことがあって。
その時に
ちゃんと抗議してくれる子どもは
とても有難い。
子どもにとって、
「この人と一緒の場面では
自分が嫌だと思うことは
嫌だと言っていいんだ」と
そう思ってもらえるような
大人でいたいと思います。


2019年9月18日
【あそびのじかん】
水を含んだスポンジを、
大人がぎゅっと握ると
ぽたぽたと水が落ちる。
その様子を、小さな男の子が、
不思議そうに見ていた。
そのうちに、手を伸ばして
水滴をつかもうとした。
何度かぎゅっと手を握って
つかもうとするんだけれど、
あれぇ、って顔して
今度は、スポンジに手を伸ばした。
水と、お話してるみたいだった。

たらいの底に、
ほんの数センチ、水を入れただけで
水遊びは充分楽しめる。
水浴びだけが 水遊びじゃない。

水をすくってみたり
ぐるぐる混ぜたり
水面をぴちゃぴちゃ叩いたり
じっくりと、水に触れることで
小さな人たちは
存分に楽しんでる。

小さい人の遊び、って
こういうことなんだ、って
大人たちが知っていることが
大事だよね、って思うのです。

ひとつのものに向き合う時の
子どもの集中した姿が、好きです。


2019年9月19日
【あそびをおもう】
ボードに向かって
色の板を投げて遊んでいるコがいた。

いけないこと?

色の板の裏側には
マグネットがついていて
うまく投げると、
ボードにくっつく。

大人のダーツと一緒だね。

うまく、くっつけば
いい遊びに見えるんだけど
失敗すると
乱暴してるみたいに見える。

でも、そう「見える」だけで
うまくいっても、いかなくても
やってることは同じだよね。

どう見えるか、ではなく
何を考えて行動しているのかに
意識を向けていたいと思う。


2019年9月25日
【あそびをおもう】
子どもらしい、って
何かな、と思う。
広いところで駆け回ったり
水たまりに入ったり
音に合わせて踊ったり
うわぁーって声をあげたり
そんな時、大人たちは
「子どもらしいね」って言う。
子どもらしくていいね、って。

でも、
あたりを慎重にうかがったり
汚れないようにと気をつけたり
小さな虫の音に耳をすましたり
光の反射する様に目をこらしたりする
そんな姿を観ても
子どもらしいね、って
言わないような気がする。

「子どもらしい」って言葉は、
もしかしたら、
大人たちが、ホントはしたいこと・・・
想いのままに身体を動かしたり
声に出したり
全身で表現できたらいいのに、
って思う願望を
子どもに重ねているんじゃないかな。

ホントは、
「子どもらしさ」なんて、
ないのかもしれない。
その子らしさ、その人らしさがあるだけ。

子どもらしさ、という言葉で
大人自身の「こうしたい」を
子どもに期待しないで
大人自身も、自分の、自分のしたいことを
のびのびとやってみたら
いいんじゃないかな。

子どもらしさ、なんてないかもしれなくて
きっと、その子らしさ、が
何人分もあるんだよね。

2019年9月30日
【あそびのじかん】
お座りができるようになったばかりの子と
遊んでいました。
透明な容器(乳酸飲料の容器)に
カラフルなビーズと水を入れて
口をしっかり閉じたものを
よく、観ていました。

ゆっくり傾けてみせると、
中に入ったビーズがゆっくりと動きます。
ちょっと嬉しそうな顔をしました。
逆に傾けると
またビーズがゆっくりと動きます。
また、嬉しそうな顔をしました。
キレイな色が動くことが
よく分かっているようでした。

ゆっくり、ゆっくり
容器を、あっちに傾け、こっちに傾け
ビーズが動く様子を楽しんでいると
その子が、ふっと、手を伸ばしました。
そして、容器にチカラをかけました。
それまで私が動かしていたのと同じように
容器がゆっくり傾き
ビーズがゆっくり動きました。

すると、嬉しそうに笑いました。

自分が動かしたら
キレイな色が動いた。
そのつながりに、気づいたんだな、って
分かりました。

自分が働きかけたことに対して
期待した通りの反応が返ってくる。
その嬉しさ。
その嬉しさに出合った瞬間。

子どもたちって
きっと、日々、こういう嬉しさを
積み重ねているんですね。

嬉しさのおすそ分けを頂きました。