記事を書くために、基本データを確認しようとネットで調べて、初めて知ったことがあった。それは、訪問した時には、この博物館の半分も観ていないってこと。たっぷり1日かけても、全部観られなかった、という記憶はあったのだが、それは東館(王立博物館)が全部観られなかっただけで、更に西館(スコットランド博物館)があったそうだ。(知らなかった。)
1日かけても、まだまだ全然時間が足りないくらい、内容がぎゅっと詰まったMuseumということで、ご紹介したい。
この時期、子どもたちと一緒に訪れる場所選びの基準は、優先度の高い順に、恐竜・動物・体験型・・・だった。エディンバラを訪れることが決まり、どこに行こうかと探した時に見つけたのは、空中を海の生き物が泳いでいる写真。もちろん、ここに行こう、と即決。
海の生き物が泳いでいるエリアは、3階までの吹き抜けになっていて、各解に回廊のように展示スペースがある。吹き抜けの上の方で海の生き物が泳いでいるだけではなく、1階エリアでは地上の生き物(剥製)が所狭しとひしめいていた。
私がここがいいなぁと思ったのは、「考えるための切り口」を意識して作っているのが伝わってきたから。剥製もただ並べている訳ではない。例えば「早く走るためには?」「動物の大きさ(大きな動物と小さな動物を象徴的に置いている)「極限に生きる(ラクダとシロクマが並んでいる)」などなど、複数のものを比べて、考えることを意識して展示されている。
生物エリアだけではなく、文化的なエリアでも同様で、例えば、世界中の色々な国の「ティーポット」を1つに集めた展示ケースには「何でできている?陶器?金属?」「どれが大きい?小さい?」「どれが好き?」などと、いくつもの問いが貼ってあった。
吹き抜け一杯に生き物が展示されているだけでも充分に見ごたえがあるのに、更に回廊にはみっちりと展示があり、その1つ1つがインタラクティブ。ネコ科の手の関節を動かすもの。虫の視野が分かるメガネ。食べ物の異なる動物のアゴの骨格ばかりを集めたもの。
それから、生き物の発する音を当てるクイズ。・・・全部で12問あり1問でも間違えるとゲームオーバーになってしまうのだが、これが本当に難しくて、あと1問か2問のところでどうしてもうまくいかない。あとちょっと・・・というのが、どうにも悔しくて、初対面のお兄さんと一緒に、30分以上はチャレンジしていたと思う。(結局、達成ならず。)
更に上の部屋に行くと、触って試してみることのできる展示が、子どもサイズの低い台で、いくつも準備されているのだった。
Museumに展示されているものの多くは、それぞれに歴史的/文化的な背景や、自然科学上の特徴、なぜ価値があるのか、という意図を纏っている。だから、観る側も、その展示物のどこに価値があるのか、という、知識を得ようとしてしまうことが多いように思う。
このMuseumの展示スタイルから感じたことは、知識を伝えるのではなく、観たものを自分なりに感じ考えるための切り口やヒントを伝えようとしている、ということだった。それは、展示品を自分なりに味わいたい人にとっては、少々うるさく感じるものかもしれない。けれど、これから世の中のものに1つずつ出会っていく途上である子どもに対しては、大きなヒントになると思う。ただ漫然と見るのではなく、比べたり、繋がりに気づいたり、要素を取り出したり、仕組みを考えたりする。そんな風に物事を観ると楽しいんだよ、と教えてくれているように思う。
展示品の持つ魅力というのを、とてもすてきに引き出しているMuseumだな、と思った。そして、この視点は、何にでも応用できると思う。ぜひ、マネしたいよね。
■訪問データ
National Museum of Scotland
-所在地:イギリス(スコットランド エディンバラ)
-訪問日:2014年10月21日
■動物の剥製と出会ったMuseum
ロンドン自然史博物館(ロンドン)
スミソニアン自然史博物館(ワシントンDC)
レッドパス博物館(モントリオール)
ボストンハーバード自然史博物館(ボストン)