私は、「ひらめかない企画者」です。
新卒の最初の1年だけは総務部でしたが、2年目から、ずっと、今に至るまで、「企画」の仕事をしてきました。かなりのキャリア。
でも、ステレオタイプ的に「企画を考える人」としてイメージされるような、何もないところから、アイディアがポンポンと飛び出すようなことはありません、残念ながら。
私はずっと、1ピースずつ組み立てる方法で、企画の仕事をしてきたと思います。目的は何か?対象は?どういう状態がゴールなのか? そういう要素を整理して組み立てる。そして、自分の持っている引き出しや、過去の経験の中から、役に立つものを組み合わせて、そうやって、企画案というものを出してきました。(ですから、新奇性はないけれど、実現性のある企画が得意です。)
今では、「こういう感じのことをしたいんだけれど?」と言われたら、即座に2つ3つ引き出しが開くようになったので、その場で思いついているように見えるかもしれませんが、条件に合わせた引き出しが開いているだけなんです。「何でもいいから面白いアイディア出してよ。」と言われても、出てきません。
同じように、営業や経理のような職種、メディアとか金融のような業種にも、それぞれステレオタイプ的なイメージ通りではない関わり方で、取り組んでいる人が沢山いるんじゃないかと思うのです。たぶん、「営業に向いている人」がいるのではなく、「自分に向いている方法で営業という仕事をしている」ってことなのです。
キッザニアで働いていた時から今に至るまで、「子どもたちの仕事の適正を見つけるテストをしよう」という企画を、何度となく目にしました。本やWEBのコンテンツとして、遊びっぽいテイストのものもあれば、もう少し就業支援として本気で考えられたものもあったと思います。
ずっと、そういう企画に違和感があったのです。当初は、どれくらい確かなのか分からないようなテストによって、子どもの可能性を決めてしまう危うさに抵抗があったからだと思っていました。もちろん、その気持ちは今もあります。それと同時に、職種や業種に分かりやすくあてはまる「適正」なんて見いだせないよね、という違和感も、抱くようになりました。
だから、子どもたちと将来のことを話す時には、「あなたは、新しいことを思いつくことが好きだから企画に向いているね」と伝えるのではなくて、「あなたは新しいことを思いつくのが好きだね。だから、どんな仕事についたとしても、自分なりの方法を考えたり、仕組みを作ったり、商品を作ったり、自分なりの考えを生かせるような働き方をすると、得意が生かせるかもしれないね」という風に関われたらすてきだな、と思うのです。
そして、そういう「自分らしさ」というのは、遊び、つまり、自分が熱中できるものに向かいあうところから見出せると思っていますが、それはまた改めて。
自分らしさに合った何かを探すのではなく、自分の置かれた環境のなかで、どうやったら自分らしさが生きるのか、そういう考え方を、子どもたちに伝えていきたいのです。
あそびを磨こう。