「いいおもちゃ」の選び方(前編)

facebookページ[あそびのじかん]に投稿した
「おもちゃの選び方」。
元おもちゃ屋さん(厳密にはおもちゃ企画者)として
また、子どもの育ちに関わる者としてまとめた本音の記事。
こちらでもご紹介します。


いいおもちゃとは?と
問われると
以前は
「1つで複数の遊びができるおもちゃ」と
言っていましたが、最近は
「こどもが遊びを創るおもちゃ」と
言っています。
(思うところは同じです。)

その逆にあるのは
「おもちゃが遊びを決めるおもちゃ」
です。

ですが。
「このおもちゃはどうやって遊ぶんですか」
と、子どもから、質問されることも、あります。

「どうやってもいいんだよ」というのは
この場合、いい答え方じゃないような気がします。

さて、どう返事をしましょうか。


あそびの道具。
どんな道具が
どんな遊びを引き出すのか。

少しおもちゃシリーズで
考えてみたいと思います。


【生まれて最初のおもちゃ】
おもちゃ選び。
生まれて、寝返りするまでくらいの
最初のおもちゃは
大人が、子どもと関わることを
助けてくれるものを、おすすめしたい。

振って、音が鳴ったね。
ほっぺや手に触れて、
やわらかいね。つめたいね。あったかいね。
並べたり回したり転がしたりして
あーうごいてるね。

ご飯作っている間に
子どもが待っていてくれるようにと
ジムが欲しかった時もあるけど
あんまり長続きしなかった。
ジムに頼りきりにしないで
ちょっと声をかけたりする方が
長く遊べるように思う。

鈴の入った布のボール。
空き容器にビーズ入れたの。
きらきらした素材。
手触りのいいつみき。
色のあざやかなコマ。

そんなものが、おすすめです。

【0歳 後半ごろ】
同じ0歳でも
寝返りをうてるようになり
自分で体が動かせるようになるにつれ
遊び方が変わってきます。

触る、押す、つかむ、落とす、
クチに入れる・・・と
興味を持った時に
自分でいじれるものを
近くに置いておくといいと思います。

できることが
めまぐるしく変わる時期ですが
厳密な発達段階を知るよりも
こどもがモノをいじる様子を見て
「あーこんな風に手を使えるんだな」
「こんな風に移動して追いかけるんだな」と
遊べそうなものを選んでいけばいいです。

おもちゃとして売ってるものじゃなくて
いいのです。

タオル。
古い携帯。
ヨーグルトなどの空き容器。
お手玉。
あんまり遠くまで転がらないボール。
音の出る楽器。

牛乳パックの上下を切って筒にして
上からボールを落として遊ぶもの。

100均のタッパのフタに
カッターであなあけて
ハンカチを入れたもの。

子どものまわりの世界は
興味をひくもので一杯です。


【1歳ごろ】
1歳で選ぶおもちゃ。
まずやってくるお誕生日には
最初の誕生日だから、と
長く使えそうなおもちゃを
買うことも多いかもしれません。

「長く遊べるもの」の面白いところは
年齢によって遊び方が変わるところ。
1歳の頃は
大人がイメージする遊び方とは
違うかもしれません。
それも、その時々の大切な姿です。

長く遊べるものとしては例えば
つみき。ままごと。
大きめのブロック。

また、下記のようなものも
1歳くらいで好む場合が多いです。
もちろん個人の好みはあります。
(もし買うとしたら、
児童館やお友達のお家での遊び方を観て
好みそうなものを選ぶのがいいですね。)

カバン。
形をはめるパズル。
転がす系のおもちゃ。
押して歩けるもの。
乗れるもの(車など)。

1歳くらいのお子さんが
シンプルなことに繰り返し繰り返し
集中している姿が
私はとっても好きです。
それを満たせるものを
近くに置いてあげたいなぁと
思っています。

【2歳くらい】
2歳くらいをイメージすると
そろそろ
おもちゃっぽい おもちゃが
欲しくなる頃でしょうか。

お世話人形
レールを走る電車。
ままごとに使う大きな道具
(キッチンとか、レジスターとか)

・・・などは
この時期に買うことが多いです。
抽象的な形のものを
何かに「見立てる」力は大事。
とはいえ、この頃になると、
生活に対しての理解が高まっていて
具体的な形を持つものがあると
遊びの気分が盛り上がるので
大人世界の小さいもの
という性質のおもちゃを買うのに
いいタイミングですよね。

ただ、商品として完成されすぎていて
遊びを拡げるために
次のものを買いたくなる、という
サイクルに入らない方がいいかな、と
思っています。

そうならない工夫として
ちょっとしたアレンジをして見せる
ということもいいかと思います。
家にある箱をお人形のベッドにするとか。
電車の駅をつみきで作るとか。

それはケチっているのではなく
遊びを拡げるために
「新たに買ってもらう」のではなく
「自分で何とかできる」という
想いを持つためです。

子どもの遊び方は
日々変化していきますよ。

(写真は、Myドールとして
作ったものです。
子どもが 自分の分身として
大事にできることが目的。
もちろん どんな人形でもいいのですが
ただonly one な 要素は
どこかには必要ですね。)

【ちょっと休憩・・・おもちゃの対象年齢について】
おもちゃの箱に書いてある
対象年齢からおもちゃを選ぶと
3歳以上のものになると
ぐっと種類が増えるように
感じませんか?

ST(玩具安全基準)では
小部品などいくつかの項目で
3歳以上ならばOK、というものがあり
それも理由の1つかなぁと言うのが
経験上の個人的な実感ではあります。

対象年齢が3歳以上、
というおもちゃは
「3歳以上で遊べる」というより
「3歳以上のこどもを想定した
安全基準を満たしている」と
理解した方が
より実態に近い気がします。

そもそも「○歳以上で遊べる」の
「遊べる」の中身は
「大人の想定した遊び方で遊べる」
という意味に近いかな、と思うのです。

取扱説明書通りでなくても
それを使って自分なりに遊ぶのなら
対象年齢には
あまり囚われすぎなくてもいいかな、と
私は考えています。