「いいおもちゃ」の選び方(後編)

facebookページ[あそびのじかん]に投稿した
「おもちゃの選び方」。
元おもちゃ屋さん(厳密にはおもちゃ企画者)として
また、子どもの育ちに関わる者としてまとめた本音の記事。
こちらでもご紹介します。


【3歳ごろ その1】
3歳頃、遊び方がじわじわ変わり
そうなると、あそびのどうぐの選び方も
変わってきます。

いくつも要素を挙げたいのですが
あえて1つ。
「好きなことを見つける」を
意識したいなぁと思います。

「見つかる」ではなく
「見つける」が大事。
「見つけたい」と思う
近しい大人の視点が大事かな、と
思うのです。

好きなこと、というのは。
電車とか、恐竜とか、お人形とか
ままごととか、砂遊びとか・・・
そういう「好き」に限らず。
並べる、とか、観察する、とか
組み立てる、とか、マネするとか、
同じものを見つける、とか
そういう色々な「好き」があります。

そんな「好き」の要素が
いくつもいくつも
1つのおもちゃの中にある訳です。

こどもが、何に「好き」を感じているのか
それに気づくヒントを持っているのが
おもちゃであればなぁ、と思っています。

【3歳ごろ その2】
3歳頃のあそびの
もう1つのキーワードは
(1つ目は「好きを見つける」でした)
同世代の人を意識する
ということかと思います。

友達と遊ぶ、という過ごし方の
楽しさに気づき始めます。

だから、「誰かと遊ぶ」ことを
意識したおもちゃも
この時期に出会うとよいおもちゃ。
パーツが多く、ごっこ遊びに発展させやすいままごとセット。
大勢で遊べる量があるつみきやブロック。
自分を投影して遊ぶ人形。
などなど。
カードゲームのように、
複数で遊ぶものだけれど、
ひとりで眺めていても楽しい、というものも
いいかもしれません。

ただ、「複数いないと遊べない」おもちゃは
まだちょっと早いです。
複数いないと遊べない、とは、例えば
カルタや将棋などの古典ゲームや
人生ゲームなどのすごろく系
バトミントンなどのスポーツなどです。
3歳ころ、まわりの人を意識し始めるものの
実際には、近くに寄って個々に1人遊びをしたり
遊びの始まり終わりの区切りがマイペースだったり
まだまだ、1人から複数への移行期だからです。
そもそも1人で過ごすほうが好きな場合もあります。

なんとなく、「お友達と遊べるのがいいこと」と
思いがちですが、そこは無理強いしないことを
おすすめします。
その上で、1人でも楽しいけれど
誰かと一緒でも楽しい、というおもちゃを
少し目の届くところに置いておくといいかもしれません。

【4歳から6歳くらい】
4~6歳、年中・年長さんくらいのおもちゃは
基本的には、
その子の好きなもの・楽しいものに尽きる、と
思っています。

好きなもの・楽しいものを見つける時に
お店で「おもちゃ」として並んでいるものに
とらわれないことを、おすすめします。

素材屋さんの紙やリボン。
百科事典と虫眼鏡。
本格的な工具セット。
楽器。
調理器具。
お裁縫道具。

こどもがやってみたいことは
おもちゃの枠に留まらないから。

おもちゃの企画開発の頃は
この時期の子どもに向けて
電子で遊ぶおもちゃを
担当したこともありました。
大人の世界がIT寄りになれば
それを見ている子どもにとって
パソコンやスマホを模したおもちゃは
当然、憧れの対象になります。

でも、電子のおもちゃは
結局開発者が考えたプログラムの外までは
世界は広がらない。

そう考えると、
自分の手と目と感覚を使って出会う
「好きなもの」に
この時期だからこそ出会えたらいいと思うし
その出会いのための
広い意味での「おもちゃ」を
提供できたらいいなぁ、と思うのです。

元おもちゃやさんとして
「おもちゃの紹介」を
書き始めたのに
「おもちゃ」って顔してるおもちゃだけが
おもちゃじゃないよね、という
いつもの話に行きついてしまう。


【小学生から大人 特に小学生に】
0歳から年齢別にみてきた「おもちゃ」。
何歳まで続ければいいのかしら。

私がおもちゃの会社で働いていたのは
もう15年ほど前ですが
その頃には、もう
「小学生がおもちゃを買わない」ことが
課題の1つとなっていました。

本来、遊べば遊ぶほど奥の深くて
小学生にも遊び応えを持ってもらえるものは
いくつかあるのだけれど
その「遊び応え」を感じるような遊び方を
お伝えできていないのではないか、
というのが
とりあえずの「仮説」です。

「おもちゃ」として売っていないもので
楽しく遊べるものを
多々おすすめしている私ですが
「本当にいいおもちゃ」というのは
確かにあると思っています。
身の回りのものを使って
自分なりに遊びを盛り上げられるこどもは
「本当にいいおもちゃ」を手にすると
どんどん遊びを展開できるんじゃないかと
思うのです。

最近出会ったものの1つは、つみきです。
クラシックタイプのシンプルなレゴにも
同様の魅力を感じます。
鉄道模型やドールハウスは
昔から大人がはまるおもちゃでした。

遊ぶ、ということに真摯に向き合った人が
遊ぶ相手を信頼して、余白を残して作ったものは
ものすごく、遊びを盛り上げると思います。
そこまで質の高い「あそびのどうぐ」なら
未就学で卒業する必要なんてない。
小学生でも、大人でも
存分に楽しめるのになぁ。

小学生向けのおもちゃ、という記事を
あまり目にすることがないなぁ、と思う。
今どきの小学生は、
おけいこ事で忙しくて遊ぶ暇がないとか
テレビゲームでしか遊ばないとか
そんなのは、思い込みだと思う。
ちゃんと小学生を見ていない大人が
「そう言いたいだけ」。
彼らは、習い事までの30分の隙間をぬってでも
おにごっこをして遊んでいたりするのに。
(もちろん、そこにも個人差や地域差はありますが。)

話がそれましたが
小学生も、あそぶ。
じゃあ、何して?
と思ったときに
改めて「遊び応えのあるおもちゃ」を
思うのでした。