私の好きな世界のMuseum:12 ウッドランドパーク動物園(シアトル)

広かったー!という印象ばかりが残っていたシアトルの動物園。でも、「ただ広い」だけではない、ということに、この連載を続けていて気づいた。それは、展示スタイルの話。
昨日の記事で、旭山動物園を紹介した。旭山動物園を語るキーワードは「行動展示」。改めて調べてみると、「行動展示」と「形態展示」以外にも、色々な展示の形があることが分かった。(ところで「形態展示」とは、同類の動物を並べて展示する展示方法のこと。形態的特徴に注目させて解説するので、形態展示と呼ぶ。旭山動物園の話をする時には「従来の形態展示ではなくて、行動展示を始めたことで人気が出た」と、当て馬的に説明されてしまうことが多い。)
例えば、野生動物の生息域ごとに展示する「地理学的展示」、そして、どの動物が野生で生活している環境をなるべく再現した「生態的展示」。何より、柵に動物を閉じ込めるのではなく、動物にストレスのかからない環境エンリッチメントなどを考慮しよう、という考え方が主流になっているらしい。
そんな記事を読みながら、(この記事が特に分かりやすくまとまっていた)そうだ、シアトルの動物園はまさにそうだった、と、思い出したのだ。

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シアトルの動物園が広かった、という記憶は、動物園全体が広かっただけではなく、個々の動物が、広々とした場所で、ゆったりと過ごしていた印象が強いからだと思う。熊も、ヘラジカも、ゴリラも、サバンナの動物たちも、本当の自然の中かと思う程のエリアで、伸び伸びと過ごしていた。

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エリアの入り口には、世界地図があり、動物の生息域が示される。

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そして、子どもだましではない、リアルなスケッチ風の絵を活用した説明ボード。このスケッチ風の絵、見ごたえがある。

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インタンタラクティブに動物のことを学ぶためのツール。ボードをめくれば、何の動物の足跡か分かる。もちろん、めくってみたくなる。同じようなツールは、どの動物のエリアにもあり、オオジカのエリアにあるのは、実物大のツノ。ゴリラのエリアにあるのは、手の大きさが分かるブロンズ。(そりゃ、大きさ比べしたくなるよね。)

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そして、この動物園で最も広さを感じたのは、サバンナのエリア。サバンナの周囲には立木が生えていて、少し歩くと見晴らしのいい場所になり、サバンナが見える。またもう少し進むと、また遠くが見通せるところがあり、違う角度からサバンナが見える。歩いても、歩いても、歩いても、ずっとサバンナが続く。キリンとダチョウとシマウマが同じ草原で過ごし、のんびりと歩いている。

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「今までの動物園は、動物があんまり動かないから、つまらないよね」「動物が遠くにしか見えないから、ちょっと残念だよね」なんて言われることもあるけれど、全くそういう気持ちにはならなかった。広い動物園を朝からずっと歩いてきたはずなのに、サバンナの近くを歩くのは、程よく木陰で、風が吹いて、空が広くて、気持ちよかった。きっと、サバンナの生き物たちは、こういう気持ちの良いエリアで過ごしているのだろう。良かったな。

動物園という環境は、動物たちにとって、どういう場所なのか・・・もしかしたら、大きなストレスを抱えながら、そこに居てくれているのかどうか、本当のところは分からない。展示対象である動物が命を持って生きている存在である、というのは、観る人の立場だけではなく、動物のことにも配慮する必要がある、という、至極当たり前のことに改めて気づいた。だからこそ、こんな風に、なるべく、本来の生態に近い場所で過ごす動物を見ていると、どんなに遠くとも、動いても動いていなくても、なんだかとても伸びやかな気持ちになるなぁ、という気持ちに気づけたことは、いいな、と思う。自分たちの気持ちも解放されるような心地よさだったなぁ。

■訪問データ

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Woodland Park Zoo
-所在地:アメリカ合衆国(ワシントン州 シアトル)
-訪問日:2014年6月24日