【季節のおすすめ絵本】1月:昔ながらのあそび

この季節だからこそ、味わいたい絵本、というものがあります。
もちろん、子どもたちが、真冬に水遊びの絵本が読みたくなったり、雪だるまの絵本が好きすぎて1年中楽しんだりする姿も、それはそれで微笑ましいので、あんまり厳密に「絵本を使って季節を教えよう!」とは思わないのですが。
もっと緩やかな感覚で、〈今年も、この季節だなぁ〉とか思いながら、手に取りたい絵本があってもいいよね、という想いで、月ごとの絵本をご紹介していこうと思います。

あけましておめでとうございます。
何が変わるわけでもないのですが、やはり年のはじめは特別な感じがしますね。

1月は〈昔ながらのあそび〉の絵本をご紹介します。

〈昔ながらの遊び〉には、季節感を反映したものもあるけれど、それよりは1年中遊べるものが多いので、1月だから、という必然性はありません。ただ、お正月あそびからの連想で、遊んでみる機会が多いようです。特に、幼稚園や保育園などでは、羽根つきやコマ回し、凧あげにチャレンジすることもありますよね。

昔ながらの遊びは、決して「古い」とは言い切れず、長い時間、遊び続けてきた楽しさや奥深さがあるものです。そんな昔ながらの遊びをテーマにした絵本を、ご紹介します。

雪の多い地域に住むと、雪は楽しいばかりではないのでしょうが、雪の降らない地域で育った私にとって、雪遊びは憧れの遊びでした。


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だるまちゃんとうさぎちゃん』 かこさとし:作 福音館書店
だるまちゃんと、うさぎちゃんが、雪遊びを目一杯楽しむお話。かこさとしさんは、伝承遊びの研究もしていたそうです。昔ながらの遊びや、おやつの時間のちょっとした工夫が楽しそうに紹介されて、やってみたくなります。「たんげさぜん」とか、今のお父さんお母さんでもなかなか知らない〈昔の人〉の名前がちらほら登場するのですが、それも、おじいちゃんの話を聴くような風情があって、なんだかいいんです。

冬のあそびと言えば、もう1つ「おしくらまんじゅう」があります。今は、子ども同士であっても、人と人とが触れ合う遊びを楽しむことが難しくなっていますが、こんな風に一緒に身体を動かし、お互いの体温で暖め合うあそびから、言葉では伝わらない一体感を得ていたんだろうなぁと思います。


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おしくら・まんじゅう』 かがくいひろし:作 ブロンズ新社
「だるまちゃん三部作」で有名な、かがくいひろしさんの絵本。繰り返しのリズムが心地よく、擬態語の選び方が楽しいので、子どもたちが本当に喜びます。繰り返し繰り返し楽しんだら、親子で「おっしくらまんじゅう! そーれ!」と身体を動かしたくなります。

おしくらまんじゅう、だけではなく、昔からのあそびの中に自然に使われてきた節回しやリズムには、親しみやすいものが沢山あります。「わらべ歌」の魅力も再発見されていますよね。心と身体にとって、自然で、無理がないメロディーなのだと思います。


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おせんべ やけたかな』 こがようこ:構成・文 降矢なな:絵 童心社
昔ながらのあそび、と言っても、そんなに大げさに身構える必要もなく、こんな風に、お互いの手と手を合わせて、ちょっとした時間に遊べるものだからこそ、昔から長く続いてきたのだと思うのです。絵本を読んで遊びを知ったら、電車の中で、ちょっと遊ぶのにおすすめ。

この『おせんべ やけたかな』の絵本から広がる遊びもご紹介しています。

気軽に遊べる「ことばあそび」と言えば、しりとりもあります。


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ぶたたぬききつねねこ』 馬場のぼる:作 こぐま社
しりとり絵本。しりとりをしながら、言葉が順番に登場するのですが、絵本として話が通っているのです。絵本の筋を通すために、無理やり登場する言葉がなく、ちょっぴりのシュールな展開や、じわじわおかしくなる間も含めて、なんとも味わい深い。シリーズで何冊も出版されています。

「すもう」も、おしくらまんじゅうと同じく、人と人との触れ合いが多い遊びですが、未就学の子どもたちは喜びます。最初は、ただ押し合うことを楽しむのですが、そのうち、どれくらいのチカラで押したら相手にケガをさせないのか、とか、自分たちなりに力加減が分かってくる。力比べのようでいて、状況を判断しながら、自分の身体を使うということを、体得していくようになるんですよね。



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ねずみのすもう』 大川悦生:作 梅田俊作:絵 ポプラ社
おじいさんのうちのねずみと、庄屋さんのうちのねずみとが、すもうに興じる姿を、おじいさんとおばあさんが見守るお話。「でかんしょ! でかんしょ!」という掛け声が微笑ましく、応援してくなります。勝っても負けても、一所懸命で、お互いをたたえ合い、爽快感のあるお話です。

さて。お正月あそびと言えば「凧あげ」ですが、日本以外の国にも「凧」はあります。もちろん形は違いますが、感じる楽しさや、わくわくは変わらないと思うのです。



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たこをあげるひとまねこざる』  マーガレット・レイ:文 H.A.レイ:絵 光吉夏弥:訳 岩波書店
最近では、おさるのジョージ、と言った方が伝わるかもしれない〈ひとまねこざる〉シリーズの1冊。最初から一気に「凧あげ」の話になるのではなく、まるですごろくのように、興味のあるものを求めて、1歩ずつ先へ先へと進むと、最後に凧にたどりつきます。目の前の興味の持ったものに、1つずつ出会っていく姿に、とてもわくわくするのです。

寒い季節は家で過ごすことも多く、親子で過ごす時間が増えますよね。昔ながらのあそびの絵本には、あそびのヒントが色々詰まっています。絵本を読んだら、絵本に登場するあそびにも、ぜひチャレンジしてくださいね!