絵本はこんなにも親子時間を助けてくれる

絵本、好きですか?

そう聞かれて「いや、キライです」って答えるお父さんやお母さん、あんまりいないですよね。

もちろん心の底から絵本が大好きな大人もいます。でも、自分がこどもだった時以来30年ぶりくらいに絵本を手に取って、どうしたらいいか戸惑いつつも、「子どものために、絵本は好きにならなきゃいけない」って思って、つい「好きです」って答えちゃう人、実は多いのかもしれません。

でも本音のところでは、「キライってほどでもないんだけど、ちょっとニガテなんです。」って人も、「イマイチ良く分からなくってちょっと敬遠している」っていう人も、たくさんいます。「こどもにどんな風に読めばいいか分からない」とか、「自分で読むのは好きだけど、こどもに読んであげるのは、ちょっとめんどくさいなぁ」とか、実はそんな風に思いつつも、誰にも言えず、ニガテなまま。

でも、絵本を好きになると、いいこと、いっぱいあります。何より、こどもとの関わりが、すっごくラクになる。だから、誰にも聞けなかった「本当は絵本ニガテなんだけど、どうしたら好きになれるの?」のコツを、お伝えしたいと思います。

まずは「絵本を好きになっておくといいかも」って感じて頂けるように、親子で絵本と仲良くなると、どんないいことがあるのかをお話しておきたいと思います。

1.親子で一緒の時間を持てる

絵本を読む。それだけです。オモシロく読もうとか、上手に読もうとか、気にしなくていい。かしこくなる本を選ぼうとか、ためになる本を選ぼうとか、力まなくてもいい。どうしてこんな展開なんだ?とか、かくされたメッセージがあるんだろうか?とか、難しく考えなくてもいい。

ただ、読む。それだけで、こどもは喜びます。最初は「絵本」そのものよりも、お父さんお母さんの気持ちを、その瞬間ひとりじめしてることに、満足しているからです。どんどんページをめくっちゃうのも、絵本をバンバン叩くのも、絵本というモノを使って、お父さんお母さんと遊びたいだけなんです。

これって、お父さんお母さんにとっては、意外にハードルの低い「こどもとのふれあい」だと思いませんか?

腕力のいる「たかいたかい」とか、大人が飽きてくる「ガラガラ」とか、陽射しや寒さの厳しい「外遊び」よりも、もっと手軽に、こどもが満ちたりた気持ちになれるのが、絵本なんです。

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『みんなでね』まついのりこ:作 偕成社
日常が淡々と描かれているだけなのに、どこかあったかい。

こどもとの生活って、そういう平凡なあったかさに満ちてますよね。

2.言葉を沢山かけてあげられる

こどもには、沢山話かけてあげましょう、って、いろんなところでアドバイスされると思います。まだ話ができない赤ちゃんだって、ちゃんと1人の人間だから、逐一言葉をかけることが大事ですよ、って。

その通り。理屈は良く分かります。でも、赤ちゃんへの語りかけ、ネタが尽きてしまうことありませんか?おはよう、朝だね、元気だね、オムツかえようか、いないいないばー、今日はどの服にしようかな、えーと、元気だね、いいお天気だね、いないいないばー、えーと・・・。

そこで役に立つのが絵本です。ページをひらけば必ず、赤ちゃんに話かけるネタがあります

あ、いちごだ、いちごだね。あかいね。おいしそうだね。この前食べたね。すっぱかったね。

ほらね。絵本が1冊あると、それだけで、言葉をかける材料が見つかるんです。



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『くだもの』平山和子:作 福音館書店
思わず手にとりたくなるほど、リアルな『くだもの』

3.親子の共通の話題がうまれる

そしてこの言葉、絵本を開いていない場面にも使えるのです。スーパーに買い物に行った時も、赤ちゃんと話をするネタがある。あ、いちごだ。えほんに出てたね。そうそう、さぁどうぞ、って、読んだね。いちご食べたい?そうだね、いちご、食べようか。じゃあ、今日はいちご買っていこう。

「絵本に出ていたあれ」「絵本に出ていたフレーズ」それは、親子の共通の話題になります。話題、って言う程、経験や記憶がない時期のこどもと、共通して「知っているもの」を増やせるのが絵本なんです。

だから、例えば、お口を拭くのがキライなこどもも、絵本と同じフレーズで「ふいてあげるね、きゅっきゅっきゅっ」って言えば、絵本のまねっこ遊びになって、お口を拭かせてくれることもあります。

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『きゅっ きゅっ きゅっ』林明子:作 福音館書店
絵本の世界は親子の共通体験。

4.こどもの興味が拡げやすい

こどもの好奇心は留まるところを知りません。まずは自分の手や足から。そして、目に留まるもの、手の届くもの、クチの届くものへと、どんどん意識を拡げていきます。

できれば、その好奇心旺盛な時期に、もっと広い世界に出会い、興味を拡げてあげたいもの。とはいえ、こどもが実際に体験できることにも、親が連れて行ってあげられる場所にも、限度があります。

そこで役に立つのが絵本です。本物が味わえなくても、興味の入り口をぐっと増やすことができるのです。絵本を使ってこどもが特に好きなものを見つけることができたら、実際の体験や実物の見学だって、何をしたらいいのか、選びやすくなります。

絵本は、こどもにとって、世界のカタログみたいなものかもしれません。



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『のせてのせて』松谷みよ子:文/東光寺啓:絵 童心社
子どもが興味を示すのは、赤い自動車?ねずみの親子?それともトンネル?
シンプルなお話の中に、「好き」の入り口が沢山あります。

5.こどもの成長に気づきやすい

そして、忘れてはいけないのは、こどもは日々成長していくってこと。寝返りができた。はいはいができた。立った。歩いた。・・・そんなこどもの変化は、本当に嬉しくて、その喜びって、普段がんばっているご褒美にも近いですよね。

では、身体の成長ではなくて、アタマやココロの成長はどうでしょうか?身体の動きに比べれば、目に見えにくく、分かりにくいですよね。

その分かりにくさを、少しでも助けてくれるのが、絵本の存在です。同じ絵本を読み続けていると、こどもの反応の変化が見つけやすいのです。少しずつ見ていられる時間が長くなる。好きなものに反応する。知っているものを指さす。同じものを見つけて指摘する。動作や音をまねっこする。

今までできなかったことが「できるようになる」、それに気づくチャンスが1つでも2つでも増えたら嬉しいですよね。



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『だるまさんの』かがくいさくし:作 ブロンズ新社
新定番とも言える大人気絵本。動作も音もまねっこしやすい。

いかがでしたか?ニガテだと思っていた絵本、少し読んでみようかな、と思って頂けたでしょうか?
次回は、絵本の読み聞かせの方法をお伝えしますね。