さぁ、いよいよ絵本を選びます。もちろん、今までの記事でも絵本を選んでいましたが、読み聞かせ、そんなに面倒じゃないかも、と思ったところで改めて、どんな絵本を選んだらいいのか、ご案内しますね。
まずは、全年齢に共通する「絵本を選ぶ時の基本のポイント」をお伝えしてから、おすすめ絵本を年齢別に紹介します。
1.まずは大人自身が「好き」な本
絵本を選ぶ時、まずはお母さん自身・お父さん自身が「好き」な本からスタートすることをおすすめします。
図書館や本屋さんの絵本コーナーに行くと、「わぁ!懐かしい!」「この絵本好きだった!」「何の本か覚えてないけれど、見たことのある絵!」と、つい手にとってしまう絵本があるかもしれません。また、大人になって初めて知った絵本の中にも「この感じ好み」「自分のこどもと一緒に楽しみたい」と思うものがあるかもしれません。
その、「好き!」「楽しかった!」という記憶と、わくわくする気持ちは、こどもに伝染するもの。だから、最初は難しく考えずに、大人である自分自身が好きだな、と思う本を選んでみてOK!そして繰り返しますが、この時、自分自身が「読んでいて嬉しい・楽しい・わくわく」って思うことが大事。「こどもに優しさを教えられそうだから好き」「日本語だけでなく英語も書いてあるから有難い」っていうのは、わくわくとは違いますよー。
ただ、絵本によっては、ちょっとこどもの年齢に合わない場合もあるので、読んでみてこどもが興味を示さない時には、本棚に温存しておきましょう。いつかその絵本を親子で味わえる日を楽しみに!!
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『わたしのワンピース』にしまきかやこ:作 こぐま社
こどもの時好きだったんです、というお母さんの声の多い1冊。日常のすぐ隣にも、こどもの想像の扉はあるんですね。「ワンピース」というアイテムの持つ特別感も魅力でした!
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『くっついた』三浦太郎:作 こぐま社
比較的新しい絵本ですが、初めて目にした時に、ほっとする暖かさがあり「好き」の多い1冊。シンプルなのに無機質じゃない絵は、自分たち親子を投影しやすいですね。表紙の2人がお互いに観ているのもいい。
2.読み継がれてきた本には理由がある
もう1つ選ぶ時の参考になるのは、読み継がれてきた絵本、いわゆる定番本です。当たり前すぎるアドバイスではありますが、読み継がれてきた本には、読み継がれるだけの理由があるのです。
絵本は、昔からの絵本が何十年にもわたって読み継がれ、現役で売れ続ける、という消費社会の中では特殊な商材。例えば、『いないいないばぁ』の出版は1967年、『カラスのパン屋さん』は1973年。それだけ、時代に関係なく、「いいもの」がきちんと残り、それが古臭くないのです。
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『からすのパン屋さん』かこさとし:作 偕成社
何十年も、ずっとずっと、こどもたちは、パンの名前を1つ1つ指さしてきたんですね。
時代が変わり、キャラクターやアニメがこんなに増えても、こどもが楽しさを感じるものは、変わらないのかもしれません。
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『いないいないばぁ』松谷みよ子:文 瀬川康男:絵 童心社
松谷みよ子さんの「赤ちゃん絵本」シリーズは、日本で初めての赤ちゃん絵本だと言われています。繰り返しの言葉、こどもをまっすぐに見る動物たちと、こどもを惹きつける要素が網羅された、さすがの1冊。薄い和紙の上から描いた絵は、にじんだ風合いとやわらかい色味がやさしく、何度も繰り返し読みたくなります。
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『しろくまちゃんのほっとけーき』わかやまけん:作 こぐま社
ちびくろさんぼのホットケーキタワー、ぐりとぐらのビッグカステラ、そして、しろくまちゃんの擬音実況ホットケーキ、という、「三大食べたい絵本(私が勝手に言ってます)」の中でも、ごく小さいうちから楽しめるのが、『しろくまちゃんのほっとけーき』。こぐまちゃんシリーズでもダントツの人気絵本なのだそうです。親子でホットケーキを焼きたくなります。
3.図書館の活用
とはいえ、どんな絵本に興味を持つのかは、こどもによって違います。せっかく張り切って絵本を買い揃えても、本当に気に入る絵本はそのうちの1冊か2冊だけ。あとは、見向きもせず・・・ということも、よくある話。
そこで役立つのが「図書館」です。気になる本はひとまず借りてみて、充分にお試しをしたらいいのです。貸出期間中家で毎日読んだり、図書館に返すのを嫌がるほど気に入ったものは、買っても無駄にならない本です。買ってみたけれど読まなかった、というがっかりを一気に減らせます。
またシリーズ本をまとめて読めるのも、図書館の嬉しいところ。人気のあるシリーズは、10冊を超えるものもあります。全部揃えたいのか、そのうちの1冊だけがお気に入りなのか、そんな状況も、図書館で順番に借りれば解決。
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『14ひきの ひっこし』いわむらかずお:作 童心社
何大人にもファンの多い14匹シリーズ。言葉は短くても絵の中に物語が一杯詰まっているから、読むたびに新しい発見があります。
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『もりのゆうびんきょく』舟崎靖子:作 舟崎克彦:絵 偕成社
もりの仲間たちのシリーズは全部で15冊。〈ゆうびんきょく〉や〈おかしやさん〉、〈おもちゃやさん〉は有名だけれど、〈サンドイッチやさん〉や〈おべんとうやさん〉があることは、知らない人も多いかもしれません。1冊ずつ違うキャラクターが主人公なので、こどもによってお気に入りが分かれそう。
なお、何か大事にするものがあり、愛着を持つことも、こどもには必要なことです。絵本を好きになるためにも同様。だから、気に入った絵本は図書館で何度も借りられるから買わなくっていいや、ではなく、その中の何冊かはぜひ「自分のもの」として大事にする機会も作れたらいいですね。
また、図書館が遠方で気軽に行けないという場合は、図書館に変わるような「絵本がたくさんある場所」を活用するのも1つの方法です。児童館や子育て支援センターには、こどものお部屋に絵本の本棚が置いてあることもありますよ。
4.こどもが選べることを喜ぶ
こどもが絵本の楽しさにだんだん気づくようになると、こども自身が選ぶようになります。その時まずは、こども自身が「自分で絵本を選んだ」ことを喜んでください。それは、こどもが絵本好きになっている何よりの証拠ですから。
そして、読みましょう。図書館の本だったら問題なし。本屋だったら最初は立ち読みでいいから、こどもが選んだものを、一緒に読んでみる。こどもにとっては、自分で選んだってことが重要なので、あら知らない世界だったわ、と思って、大人も一緒に新しい絵本に出会ったらいいと思います。
ただ、こどもは、時に、「えっ?これですか?!」とびっくりしてしまう絵本を選ぶこともあります。
絵が好みじゃない、物語や言葉遣いがしっくりこない、ということもあります。
このナンセンスさは何?とか、シュールすぎてついていけない、とか、教育上どうなのかしら、とか頭の中が?????で一杯になるような絵本の場合もあります。
それでも。
とにかく読んでみる。
買わなくてもいいです。図書館のお世話になりましょう。意味や目的を求めないで、あんまり白けすぎないで、とにかく読んでみてください。こどもは、すっごく喜ぶかもしれないし、「あれ?読んでみたら思ってたのと違った」とか言って盛り上がらないかもしれない。それでも「ほらぁ、だから、ママはイヤだって思ったのに」とか言わないでくださいね。自分で選ぶってことは、「あれ、ちょっと違った」って結果も、自分で引き受けて、充分に受け止めているはずです。
言葉遣いがイヤ、登場人物がイジワルだからイヤ、という理由がある場合は、お子さんに「●●という理由で、私はこの本はおすすめしない」と伝えてもいいと思います。
また、シュールな絵本が苦手、というお母さんに時々お会いします。もし、お母さん自身が苦痛になるほどシュールだったら、お父さんに読んでもらってください。別に絵本に限らないですけどね、苦手なことは誰にでもあるので、そこは、できる人が担えばといいと思うんです。
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『キャベツくん』長新太:作 文研出版
シュール苦手さんにとっての、難関作家さんの1人が長新太さん。こどもには大人気です。理屈抜きの面白さがあるのか、多くのこどもがげらげら笑います。
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『みんなうんち』五味太郎:作 福音館書店
これも定番本。こどもの頃、読んだ記憶のあるお父さん/お母さんも多いんじゃないでしょうか。記憶に残っている人が多いのは、きっと、「普段はタブーなもの」が、こんなに堂々と絵本になっていることが、きっと印象的だったのだと思うのです。(最近は、タブー意識が薄くなっているので、珍しくなくなりましたけどね。)まぁ、時と場所をわきまえずに大声で叫ばれたら困るけれど、自分の身体に興味を持つことは大切だし、何より、生きていることの証ですからね。
いかがでしょう。選び方、と言っても、難しいことは何もないんです。選ぶところから一緒に楽しむ、そのことが、絵本を読む時間の楽しさを大きくします。
ぜひ、楽しんで選んでくださいね。