3歳を過ぎると、「○歳だから、この本」というよりも、こども1人1人の好きなこと・興味のあることで、絵本を選べるようになりますよね。「○歳におススメ」というよりも「乗り物好きにおススメ」「こわいもの好きにおススメ」「疑問を持つことが好きな人におススメ」・・・など、ジャンルに分けた方が、楽しめる絵本と出会えそうです。
それでも、3歳から小学校に入るまでの間くらいに、ぜひ出会っておくといいよ、とおすすめしたい本もあります。定番絵本の中から、「ぜひ出会ってみてね」と思う絵本を厳選してご紹介しますね。
1.友達や仲間を意識する
仲間や友達が登場して、その関わりを理解できるようになる頃ですよね。自分だけの世界から、仲間との関わりへ、意識が広がっていきます。こんな時期には、仲間がいることを嬉しく思えるような、友達同士が丁寧な関係性を築いている絵本を味わいたいですね。
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『だるまちゃんとてんぐちゃん』かこさとし:作 福音館書店
てんぐちゃん、という友達の存在が、だるまちゃんの世界を拡げ、だるまちゃんの家族までも巻き込む様が、活き活きと描かれます。おおきなだるまどんのパパっぷりが、ほれぼれするほどカッコイイので、こういう精神的な土台があるから、だるまちゃんは新しい世界に踏み込んでいけるんだな、と感じられます。かこさとしさんらしい、「絵尽くし」もたっぷり楽しめます。
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『あおくんときいろちゃん』レオ・レオニ:作 藤田圭雄:訳 至光社
青と黄色のマルをこどもに見立てた、究極の抽象化絵本。こどもは、そのマルに自分を重ね合わせて、共感して楽しみます。こんなにシンプルでも、大好き過ぎて一緒になっちゃったり、どうしようもなくなって泣いたり、嬉しくて飛び跳ねたり・・・という、子どものココロの動きが、ちゃんと伝わってきます。
2.自分を肯定する
仲間との関わりが増え、また、人と自分とを比べる場面も増えてきます。大人が意図しなくっても、あの子は走るのが早い、あの子は背が高い、あの子はブロックですてきなものを作れる・・・などなど、こどもの世界の中でも、お互いに意識しています。だからこそ、こども自身が「自分は、自分だからいいんだ」という、自分を肯定する気持ちが持てるよう、大人としては1人1人のこどもを認めて関わっていきたいなぁと思います。
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『ぐるんぱのようちえん』西内ミナミ:作 堀内誠一:絵 福音館書店
何もかもが大きすぎて、なかなかうまくいかないぐるんぱ。でも、その「大きい」ことが役に立つ場所が、ちゃんと見つかるのでした。誰だって、自分らしさが役に立つ場所がある、と大人も勇気をもらえます。
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『こぎつねコンとこだぬきポン』松野正子:文 二俣英五郎:絵 童心社
きつねだから、たぬきだから、と、その属性で判断してしまうのではなく、こどもたちがお互いを認め合い、いいところを見つけ合える姿が描かれます。それぞれの「得意なこと」を活かして、家族の危機を乗り越える姿が、とても頼もしいのです。
3.「困ったこと」に立ち向かう
他者と関わり、自分の感情を自覚して、こどもたちは「自分」というものを認識していきます。「自分は自分だからいい」そう思えるためには、大人たちの言葉かけが何より大切ですが、絵本もその自己肯定の気持ちを高めることに役立つかもしれません。
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『こんとあき』林明子:作 福音館書店
いつも「こん」に見守られていた「あき」が、自分のチカラで今度は「こん」を助ける話。こんの繰り返す「大丈夫。大丈夫。」という言葉が印象的。この言葉は、あきの心の声に重なり、「私は大丈夫」と思える気持ちが、心の支えになるんですね。
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『ラチとライオン』マレーク・ベロニカ:作 徳永康元:訳 福音館書店
こわいものが一杯のラチが、それでも強くなりたい、という想いを持って、弱虫な自分を克服する1歩を描いた物語。強くなりたい強くなりたいと思いつつ、「でもこわいんだもん」という本音をきっちり描いているところがすてきです。
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『おしいれのぼうけん』古田足日/田畑精一:作 童心社
たっぷりと時間をかけて読みたい長編です。タイプの違う2人の少年が一緒に大冒険を繰り広げる中で、自分のチカラに気づいていきます。2人のタイプが違うからこそ乗り越えた困難。お互いを尊敬しあう視線が、カッコいい!
絵本との出会いは、まだまだ続きます。こどもの年齢を重ねるごとに、新しい絵本と出会い、そして我が子の新しい興味や、自分自身の感じ方に出会えるかもしれませんね。
みなさん、1人1人が、すてきな絵本、自分のための1冊だと思える絵本と出会えたらいいなぁ、と願っています。