【特別じゃないあそび】言葉あそびは 〈しりとり〉だけじゃない

遊びは日常です。時には、張り切って準備したり、貴重な道具や材料を使う「特別な遊び」もあるけれど、基本的には、毎日毎日続く日常です。だから、身の回りのものを使って、あまり頑張らなくてもできる【特別じゃないあそび】のアイディアをご紹介していきます。日々の遊びのネタが少しでも増えれば嬉しいです。

一定のサイクルで、「何か遊びのアイディアありませんか?」とご質問(特には執筆や取材の依頼)を頂く「遊びのネタ」があります。夏には水遊びや海遊び。秋には外遊び。冬にはクリスマスなどの季節の行事に合う遊び・・・と言った具合です。

そんなジャンルの1つが、「何も道具がないとき」「電車の中などで静かに遊びたいとき」「あまり身体を動かせないとき」・・・つまり、できることが限られた時の過ごし方。

そんな時、私がまずご紹介するのが「言葉遊び」です。

〈しりとり〉などでいいんですよ、と例を示すと、みなさん、あぁ!とすぐに分かってくれます。でも、「言葉遊び」はしりとりだけじゃありません。今日は他のバリエーションをご紹介しますね。

まずは言葉を言い合う遊びから

まずは、知っている言葉を言い合うだけで、充分に言葉遊びになります。

ちょうど知っている言葉がどんどん増えてくる時期。人にもよりますが、2歳や3歳の頃には、「たべものの名前を言ってみよう」「動物の名前を言ってみよう」「保育園にあるものを言ってみよう」と、お互いに知っている言葉を順に言い合うだけでも充分に楽しいはずです。(時間制限のない山手線ゲームみたいな感じですね。)

それだけ?と思うかもしれませんが、子どもにとっては、絵本や生活の中で知った言葉を、実際に使うことができるのは、とても楽しいのです。覚えたてのことって、大人も使ってみたくなりますよね。ですから、一杯知ってるねー、って言いながら、存分に楽しんでくださいね。

言葉の「音」に気づく

言葉遊び、と聞いて、大人がすぐに思いつく〈しりとり〉は、なかなか難易度が高いのです。言葉が1つ1つの音のつながりでできていることが分かっていて、その音のつながりをバラバラにすることができる。そして、1つの音から始まる別の言葉を思い出す・・・という難しいことを考えているのです。

しりとりの1歩前に、言葉の「音」を意識する遊びを楽しんでみませんか。

言葉の文字を1文字変えて、別の言葉にする遊びです。

2文字の言葉から始めるのがお勧めです。例えば「あさ」から1文字変えて「かさ」。「かさ」から1文字変えて「かに」。「かに」から、「かみ」、「みみ」、「うみ」、「うめ」、「まめ」・・・という感じです。

変える文字は、1文字目でも、2文字目でも、どちらでも良いことにします。そして、子どもが違う答えを言ったとしても、あまり厳しく指摘しないことです。「あれ、なんか、おかしいな・・・まぁ、いっか。」くらいで、遊びを続けましょう。繰り返しますが、音のかたまりで意味を理解していた言葉を、音1つ1つに分けて考えることって、なかなか難しいのです。あんまり厳密に指摘しすぎると、よく分かんない、って感じて、つまらなくなっちゃうかもしれません。「じゃ、知ってる言葉をどんどん言ってくってことにしようか?」くらいに、緩やかにルールを変更しながら、進めてください。言葉を教えよう、とか、語彙を増やそうと思わずに、言葉を知っていることって楽しいなぁ、って思えたらいいですね。

しりとりだけでも遊び方は色々

しりとりができるようになったら、まずは、普通のパターンのしりとりで目一杯遊んでみてください。

ただ、しりとりだけでも、色々変化をつけることができます。

「動物の名前だけしりとり」「食べ物だけしりとり」「カタカナ言葉だけしりとり」「4文字以上しりとり」・・・などなど。

例えば、5歳の弟妹と、小学生のお兄ちゃんお姉ちゃんがいた場合に、弟妹は何でもいいけれど、小学生は必ず4文字以上の言葉、というルールで遊ぶと、年齢が違っても一緒に、どちらも本気で遊ぶことができます。

そして、小学校高学年くらいになれば「漢字しりとり」「国の名前しりとり」など、ある程度知識がないとできない遊び方だってできるんです。

また「2字とり」という2文字ずつ音を拾うしりとりもあります。「ちこく」「こくばん」「ばんそうこう」「こうえん」・・・のような感じです。

言葉あそびをおすすめする理由

「電車の中などで静かに遊びたいとき」や「あまり身体を動かせないとき」に、言葉あそびをして、何とか子どもが退屈しないように過ごそう・・・という場面は、以前よりも少し減ったかもしれません。

子どもの好きな動画を観ることで、退屈したりぐずったりしないで、静かに、時間を過ごすことができるようになりました。

どうしても必要な場面もあるでしょうし、動画に本当に助けられる場面もあると思いますので、全否定をしようとは思いません。でも、私のオススメの使い方は「動画は最終手段として、お父さん/お母さんの安心のためにキープしておくこと」です。

私は、遊びの魅力の1つは、子どもたち自身が、「自分の工夫次第で、楽しく過ごせる」という経験を重ねられることだと思うのです。

何もモノがなくても自分で工夫すれば遊びに変えられる。静かに座っていなくちゃいけなくても自分で考えれば面白く過ごせる。・・・そういう経験を重ねるうちに、自分の時間を楽しいものにするために、自分で何とかするのが当たり前になっていくと思うのです。誰かに何とかしてもらおう、と受け身にならない。

だから、「工夫次第で楽しくなるね」という経験を、沢山重ねてもらいたいと考えています。大人たちも、最初は、ちょっと大変かもしれないけれど、経験を重ねれば、そのうちに、ふっと大人の手を離れる時がきます。子どもが大人の助けを必要としないで、それまでの経験とヒントを頼りに、自分で、何とか楽しめるようになるのです。

・・・とまぁ、将来を期待する、というよりは、まずは、今、目の前の子どもとの言葉のやりとりを楽しんでみてください。
知っている言葉が増えたなぁ、とか、ものの仲間わけができるようになったなぁ、とか、子どもたちの成長に気づくチャンスが一杯の「親子遊びの時間」になると思いますよ!