イベント開催「あそびのじかんの著者とあそびのじかん展を観に行こう」

「あそびのじかんの著者とあそびのじかん展を観に行こう」というイベントを開催しました。

あそびのじかんの著者、とは私のことです。2016年に出版した『あそびのじかん』という本のタイトルと、今夏の東京都現代美術館の展示のタイトルが、偶然同じだったのです。全部ひらがな、ってところまで。

こんなにもぴったり同じで、しかも、子どもを意識した展示内容なのに、どうして私、これに関わっていないんだろう、って、ずっと、もどかしく思っていました。ちょっと検索すれば、私の本がヒットするのに、「偶然ですね」って思われて、取るに足りない存在だって思われているんだろう、って、悔しく悲しい気持ちにもなっていました。

でも、悲しんでいても何も始まらないし、先方さんに私の悔しさだって伝わらないので、何かやることに決めました。
それで「あそびのじかんの著者とあそびのじかん展を観に行こう」。あえて、まどろっこしい企画名にしました。一緒なんだよーって、アピールしたかったからです。

鑑賞だけではなく、保護者の方にもっと満足して頂きたいと、保護者の方向けに、子どものあそびをどのように見守るのか、という、レクチャーの時間も設けました。

幸い開催日1週間前には、定員一杯となり、キャンセル待ちでお申し込みいただいた何人かの方はお断りするほどでした。(子どもたちの遊びの姿を観て、それをもとに保護者の方とお話をする会としたので、私が観られる程度の人数を定員としたのです。)

企画については、子どもたちの「あそび」のペースを守ること、また、「あそび」の魅力について、保護者の方自身に考えて頂くことを大切に考えて、準備しました。

鑑賞の前に、保護者の方にはお子さんたちのペースや想いを第一過ごして頂きたい、とお伝えしました。
「もういいから次に行こう」とか「そのやり方は違うんじゃない」とか言わないで、お子さんが、何を感じているのか、何を楽しんでいるのか、何に興味を持っているのか、ということに想いを馳せて頂きたい、と。

幸い、どの子どもも予定時間では足りないほど存分に楽しんでいました。一人ひとりにストーリーがあり、あそびの世界に没頭していました。あそびの環境を保証されると、子どもたちはこんなにもじっくり遊び込めるんだ、と、本当に嬉しかった。

一番最初にお面を作る部屋に行った女の子は、1時間、ずっとお面を作っていました。髪の毛に見立てた毛糸を、何色も何色もきっちり同じ長さに切る集中力に、その子のこだわりを感じました。

最初の展示室にある「タンスのボルダリング」が気に入った少年は、時間一杯登り続けて、それでもまだ時間が足りなかったそうです。下見の時に私は「あえて登りにくく作ってあるんだな」という感想を持ちましたが、その登りにくさの中に、何か彼なりの愉しみを見出したのでしょう。

文字の積木を積み続けた男の子もいました。安定感がある積み方だったので、途中で他の子が一緒に積んでは離れていく。そんな緩やかな誰かとの関わりを持ちつつ、でも自分のペースは崩さない、そのバランス感覚が絶妙でした。

鑑賞後は、現代美術館の研修室をお借りして「遊びから何を学ぶのか」について、お話をさせて頂きました。その後「あそびのじかん」展を担当した学芸員の方をお呼びして、展示の意図や、子どもたちにアートとどのように出会ってもらいたいのかという想いをお話頂きました。

レクチャー後、多くの方が再入場されて、更に遊びの続きを楽しんだようです。

「あそびは、わくわくすること」私は、そう思っています。
そして、遊びは、自分らしさに気づき、自分を肯定するためのきっかけになると思っています。

悔しくって悲しい、って気持ちから思いついたイベントでしたが、終わって見れば、子どもたちが遊びに没頭する姿が見られて、本当に嬉しかった。現代美術館の展示も、様々に楽しむ子どもの姿が見られたことで、私1人では気づけなかった魅力を感じることもできました。

参加、ご協力頂いたすべての方に本当に感謝しています。

んー、でも。
もどかしい気持ちがなくなった訳ではなくて。
次に似たようなことがある時には、真っ先に声をかけて頂けるような、そんな実績を重ねていきたい、と改めて思うのでした。